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浮遊する女性、どこまでも♪

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最近話題を集めている、女性が浮かんでいる写真……これ、実はセルフポートレート!? 世界的に注目を集めている日本人アーティスト、林ナツミさんの世界へご案内。

Today’s Levitation: Vietnam Wacoal Corp., Bien Hoa, Vietnam ©Natsumi Hayashi, Courtesy MEM

 なにこれ、浮いてる?? ちょっと気になるこの不思議な写真、見たことのある人も多いのでは。魚眼や3D、まるでミニチュアの世界に見えるチルトシフトのように、特殊な表現や技法で写真がブームになることは珍しくはないが、この浮遊する女性の写真は謎だらけ。無表情の女性が重力を無視したような状態で、空中に静止しているのだ。一見すれば、合成かワイヤーで吊っていると考えるのが妥当なところ。しかしどう見ても、女性と背景に違和感はなく、ワイヤーを消したような処理の跡もまったく感じられない。

 この “浮遊する女性” を撮影しているのは、アーティスト・林ナツミさん。3月末日まで東京・青山のスパイラルガーデンホールにて開催されていた「林ナツミ『本日の浮遊』展」では、ベトナムで撮影した6mを超す巨大な新作をはじめ、3D作品や全長8mものパノラマ作品などが展示され、多くの人々を魅了した。

 林さんは2011年元旦より「よわよわカメラウーマン日記」という彼女の愛猫や日常を追ったブログに『本日の浮遊』と題した写真を次々に発表。それ以前のブログには、ブレていたり、いかにも跳び上がって見えた写真も掲載されていたのだが、この頃から完全な浮遊感が漂い始める。このプロジェクトがスタートして数ヶ月で、世界中に自分の浮遊写真を撮る人々が続出し、ブームを作り上げた。この『本日の浮遊』は、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルなどのメジャー紙までもが取り上げるほどの評価を獲得している。

 実はこの浮遊する女性は、林さんご自身。つまり浮遊セルフポートレートというワケ。林さんによれば、この浮遊は合成でもなければ、ワイヤーで吊っているのでもないという。この写真は単に、自分がジャンプした瞬間をとらえているシンプルなもの。毎日生傷が絶えないのが想像に難くないのだが、意外にも「これまでけがはありません。助走をつけて飛ぶこともありますが、着地に失敗したのは2回だけ」とのこと。

 “自由と解放”をテーマに商品開発を行う、ワコールの「ウンナナクール(une nana cool)は、重力から解放されたかのような『本日の浮遊』に共感。展示への協賛のほか、全国のウンナナクール42店舗で、林さんの作品をショッピングバックに採用したり、作品をモチーフにしたポストカードやアップリケなどのグッズも販売している。

 万有引力から解き放たれたひとりの女性。彼女は日本からどこまでも軽々と飛んでいく!

 text::chibahidetoshi

 


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