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知られざる魅力を発見。パリ【ルーブル美術館】フランス政府公認ガイドと巡る“ナイトツアー”

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「パリに行ったら訪れたい場所」として必ず挙がる“世界一大きな美術館”と言われる【ルーブル美術館】。収蔵作品数をすべてを見ようと思ったら「数日はかかる」と言われるほどの美術館ですが、今回はそんなルーブル美術館を短時間で効率良く鑑賞するナイトツアーに参加しました。案内してくれるのは“フランス政府公認ガイド”の資格も持つ日本語堪能なパリジェンヌ、コラ・ソレーヌさん(以下、ソレーヌさん)です。

 

ソレーヌさんとの待ち合わせは、ルーヴル美術館近くにある日本でもお馴染みの「Café Kitsuné Louvre(カフェ・キツネ ルーブル)」。

 

 

人気メニューの「あんバタートースト」などをいただきながら少し雑談をして、夜のルーブル美術館へと向かいます。

 

 

 

|賑わいを見せる夜のルーブル美術館へ

 

地上のピラミッドのあるお馴染みの入口からではなく、プランタンなどショップが並ぶ地下の入口からガイドのソレーヌさんが事前に用意してくれていたチケットで入場。遅い時間でしたがまだまだ賑わいを見せています。

 

 

まず最初に向かったのは、ルーブル美術館の歴史が学べる展示室です。

 

 

ルーブル美術館となっている「ルーブル宮」が建てられたのは12世紀。はじめは砦として建設されたのでかなり小規模なお城だったそうで、その後王様の住居“宮殿”として建て増しされたり作り替えられたりしながら徐々に大きくなっていきます。展示室にあるのは最も古い時代のもの。かつて堀だったところが通路となっています。

 

 

当時この堀はセーヌ川とつながっていたそうで、通路の途中には堀にかかっていた橋の支柱も残っています。地下に古い城壁などが残っていることは19世紀からわかっていたそうですが、展示室として整えて約30年前(1989年)に一般公開されました。

 

ここでソレーヌさんから問題。「このマーク(下写真)は何のためにつけられたのでしょうか? 12世紀の建設当時につけられたマークです」。

 

 

城壁を形成する大きな石をよく見ると、1つ1つにイカリ型やハート型、四角形や三角形などのマークが描かれています。答えは「私たちが運んだ石ですという印」とのこと。12世紀当時は建設に携わるチームごとの仕事量を計るために、各チームが自分たちのマークを石に直接記していたそうで、このマークの数で給料が決まるというとても大事なものだったそうです。

 

堀だった通路をぐるりと歩きお城の中へと入っていくとメインタワーが。

 

 

ソレーヌさんによると「このメインタワーの1番高いところに登って攻めて来る人たちがいないか交代で見張っていた」そうで、砦だった名残を見ることができます。

 

 

 

|彫刻作品を鑑賞する3つのポイントって?

 

ルーブル宮の歴史を学んで彫刻作品の鑑賞へ。すぐにアクセスできる古代ギリシャ美術、古代ローマ美術のエリアに向かいます。

 

▲エリアの入口には大きなスフィンクス像。ソレーヌさんによると「古い彫刻だけどルーブル美術館に来たのは1820年代」とのこと

 

ソレーヌさんによると、彫刻作品を見るときに特に注目するべきポイントが、“ポーズ、“表情”、“身に着けている服や靴”の3つ。「それぞれがとても大切な意味を持っている」そうです。

 

▲「例えばこの作品は戦争の神様の彫刻ですが、とても穏やかな雰囲気なのが特徴です。作品を鑑賞するときは作品の背景や意味よりも、その作品をなぜ好きと感じるかが大切。まずは作品を細部までゆっくり見てください」とソレーヌさん

 

「それではこの作品を鑑賞してみましょう。特徴は何でしょうか?」

 

 

初めて見る作品で答えられずにいると「パッと見て周囲にある作品とどこか違う点があると思いませんか?」とソレーヌさん。「服が体に纏わりついているように見える」と回答すると、さらに「何ででしょう?」と問われ、「あーっ、水かぁ?!」と気付かされます。

 

 

「その通りです。ちょうど今水から上がってきたばかりの姿を表現した作品です」とのこと。「これを作ったアーティストは服の柔らかい生地感だけでなく、生地が濡れている感じをとても上手に表現しています。服に水が溜まって部分的に重くなっているところなんかまるで本物のよう。現代なら3Dプリンターで簡単に再現できそうですが、2,500年も昔に人の手で作られた彫刻と考えると感動しませんか?」とソレーヌさん。彫刻作品を鑑賞するヒントが少し掴めてきたように感じます。

 

続いて鑑賞するのは、かの有名な「ミロのヴィーナス」。

 

 

真っ白な大理石が使われていて、身体の曲線ラインなどのバランスも良く見た目の美しさからも人気の作品ですが、ソレーヌさんによると「最も重要なポイントはこの像がギリシャで発掘されたオリジナルということ」とのこと。ルーヴル美術館に収蔵されているギリシャのオリジナルの彫刻作品は「ミロのヴィーナス」と「サモトラケのニケ」の2点のみなのだそうです。

 

▲「サモトラケのニケ」はとにかく大きいサイズが特徴。ギリシャの文化の中でもこんなに大きな彫刻作品は珍しいそうです

 

続いて鑑賞するのは、ソレーヌさんが“フランス政府公認ガイド”の資格取得のために勉強をしている時に「一目惚れしてしまった」というこちらの作品です。

 

 

ソレーヌさんによると「この作品はフランスの文化にとってとても大切なもの」とのこと。16世紀にアンリ2世がローマの教皇パウロ4世からプレゼントされた狩の神様“アルテミス”をテーマにした作品で、フランスの代々の王様たちに大切にされてきて色々な場所で飾られてきたと言います。「ルーヴル美術館には大理石でできたオリジナル作品が展示されていますが、ブロンズなど様々な素材でコピーも作られています」とソーレーヌさん。

 

“女性の強さ”を魅力的に表現した作品で、ソレーヌさんによれば「顔と身体の向きが違うという複雑なポーズと、服の繊細な表現に注目してほしい」とのこと。「服が風になびいて揺れている様子が細かく表現されています。一歩前に出した左脚の裾が少しめくれていてまさに今脚を踏み出したかのようで、横から見ると右脚には服がまとわりついていて、前から風が吹いてきているのがよく分かります。さらに後ろから見た時の風を含んだ裾の表現もとても美しいんです」とソレーヌさん。

 

 

作品をよく観察すると、着ている服のデザインも単純にドレスにベルトというスタイルではなく、大きな生地を身体に何回も巻いて最後にベルトみたいに腰に巻いていて、模様の入った素敵な靴を履いています。最初に彫刻作品を鑑賞する上で“ポーズ、“表情”、“身に着けている服や靴”の3つが大切とソレーヌさんに教わりましたが、この作品は3つすべてが融合されたとても躍動感のある作品と言えるでしょう。

 

続いては「2つの面白い特徴のある作品」とソレーヌさんが語るギリシャの両性具有の神様・ヘルマプロディートスの彫刻です。

 

 

1つ目の特徴は「背中の方から見るとセクシーな女性に見えるけど、体の前側にまわって見ると男性であるということ」、そして2つ目の特徴は「ヘルマプロディートスが横たわっているマットレス」とソレーヌさん。

 

 

柔らかそうに見えるマットレスは「固くて冷たい大理石だということを忘れて、いつも横になってみたいと思ってしまうの」とソレーヌさんが言うように、本物のマットレスのようにフカフカな質感に見えます。

 

 

 

|ルーブル美術館の知られざる魅力を発見

 

彫刻作品を鑑賞した後は、イタリアの宗教画、大人気の「モナ・リザ」、フランスの画家ドラクロアの作品などをいくつか見て回りました。

 

 

 

 

所要時間は約2時間と短いものでしたが、ルーブル美術館の歴史、彫刻作品を鑑賞するポイントを学びつつ、「ルーブル美術館に来たら見たい作品」まできちんと押さえられたツアーだったので、ルーブル美術館をより身近に感じられるようになりました。特に彫刻作品については今までとは全く違う鑑賞方法でその魅力を再発見できたのは大きな収穫だったと感じます。ぜひ知識豊富なフランス政府公認ガイドさんが案内するツアーで、知られざるルーブル美術館の魅力に触れる貴重な体験を愉しんでみてくださいね。<text:yoko photo(本文):beauty news tokyo編集部 問:パリ旅ツアー https://www.paristabitours.com/ top image:Wittaya Leelachaisakul / Shutterstock.com>


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