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秋に美味しさを増す日本酒と料理をペアリング【ホテル龍名館東京】のディナーフェア

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日本食の料理人が腕を振るった9品の料理と、女性利き酒師が選んだ2種類のひやおろし「雪の茅舎純米吟醸 ひやおろし」と「水芭蕉 秋酒 純米吟醸ひやおろ」がセットになった「秋酒ペアリングセット」は¥4,000とお値打ち。セットのついた宿泊プランを利用すれば、帰りを気にせずお酒を飲めます。

 

乾杯酒として供されたのは秋田・齋彌(さいや)酒造店の「雪の芽舎(ぼうしゃ) 純米吟醸 ひやおろし」。明治35年(1902年)創業の酒蔵は、当時のまま残る店舗や蔵など11棟が国の登録有形文化財に登録。米作りから携わり、酒造りにはつきものの櫂入れを行わず、酵母に任せた特有の酒造りをしています。

 

▲フルーティーな香りと爽やかな清涼感の「雪の茅舎 純米吟醸 ひやおろし」で乾杯

 

「秋酒ペアリングセット」の旬のお料理は、籠に入れられた5品の前菜とお造り、焼き物、煮物、揚げ物の全9品。食材の個性を引き出す味つけが素晴らしく、料理人の確かな技量が感じられる品々。用意されたひやおろしに、たいへんよく合うお料理です。

 

▲「秋酒ペアリングセット」は旬の味覚を満喫する籠膳

 

群馬県の永井酒造は、明治19年(1886年)の創業以来お酒の仕込み水を摂る森を少しずつ買い足してきたほど、水にこだわる酒蔵です。「水芭蕉 秋酒 純米吟醸ひやおろし」は、尾瀬の美しい水を思わせる透明感あふれる味わいで、柔らかな甘味が優しいお酒です。

 

▲「水芭蕉 秋酒 純米吟醸ひやおろし」は、清らかな水のような透明感が持ち味

 

前菜は左から、餡子燻製、炙り鯖寿司、栗密煮、秋鮭砧巻き、干し柿燻製チーズの5品。最初に口にした力強い燻製風味の餡子が衝撃的で、さつま芋チップスの塩味と相性抜群。脂がのった秋鯖の炙り寿司も香ばしい味が口中に広がります。チョコレートをくぐらせた栗の蜜煮は、姿と味を楽しみました。

 

▲食事の入口にふさわしい、多彩な味と驚きを感じる「前菜」です

 

脂の乗った戻り鰹こそ秋の味。鰹の酒盗が添えられます。別々に食べても美味しいですが、たたきに酒盗をつけて食べると旨味とコクが加わって、最高の酒のお供になりました。自宅で試したくなる美味しさです。

 

▲酒盗でいただく「戻り鰹のたたき」

 

これより紹介する日本酒は、10銘柄用意された10月のひやおろしのうちの4銘柄です。撮影のため、特別にワイングラスでいただいています。

 

瀬戸内海に面した広島県の港町にある今田酒造本店は、明治元年(1868年)に創業。同社社長で杜氏をつとめる今田美穂氏は、日本酒に係わる女性たちを題材にしたドキュメンタリー映画『カンパイ!日本酒に恋した女たち』に出演し、2020年には英BBCが選ぶ世界に影響を与えた『100人の女性』に日本人として唯一選ばれました。“八反草(はったんそう)”という幻の酒米を復活させ、唯一使用する酒蔵です。

 

▲今田酒造本店の「富久長 純米吟醸 ひやおろし 秋櫻(コスモス)」は、やや辛口のスッキリとしたフルーティな味わい

 

▲脂の乗った寒鰆は酒粕を使った灘焼きにして、お酒との相性も抜群に。揚げた銀杏と色づいた楓が添えられて、秋の味覚を楽しみました。

 

▲鶏そぼろと香ばしく炒った胡桃が入る「里芋饅頭」。出汁の効いた銀餡には風味豊かな椎茸やニンジンを加え、擦ったワサビがアクセント

 

酒米の生産から携わる神奈川県の泉橋酒造は安政4年(1857年)創業。特に熱狂的なファンを持つ酒米“雄町(おまち)”を自社田栽培した「秋とんぼ 生もと純米 雄町」は、豊かな香りに、甘味と酸味、力強い旨みを感じる一杯です。どんな料理にも合わせやすいお酒です。

 

▲秋はとんぼの恋の季節。「秋とんぼ 生もと純米 雄町」のラベルを飾ります

 

「椎茸二身揚げ」は傘に海老真丈がたっぷり。肉厚の椎茸もボリュームがあってとてもジューシー。海老とキノコの旨味があふれ、日本酒が引き立つお味です。

 

▲揚物の「椎茸二身揚げ」

 

米どころとして知られる新潟・南魚沼市の青木酒造は享保2年(1717年)に創業。ひやおろしの「鶴齢 特別純米 ひやおろし」は、温度が一定の雪室でお酒にストレスをかけずに貯蔵。まろやかな味に熟成した人気のお酒です。

 

▲雪室で熟成した人気のお酒「鶴齢 特別純米 ひやおろし」

 

レストランの魚料理は時期により変わりますが、今回はメニューにあった秋鮭の西京焼きをいただきました。西京味噌の染みた奥深い味わいに、添えたイチジクのやさしい甘味がアクセント。

 

▲魚の西京焼き

 

その日の旬をいただける「天婦羅の盛り合わせ」もメニューからチョイス。この日はシラスのかき揚げや、ふっくらと食べ応えのある菊の花のかき揚げ、ピーマン、茄子、海老、舞茸など盛りだくさん。黄金色の澄んだ天つゆは、鰹出汁の優しい味わいに心が躍ります。

 

▲澄んだ天つゆが際立つ旬の「天ぷらの盛り合わせ」

 

文化元年(1804年)に創業した福井の黒龍酒造は、その高額さゆえ酒造り自体が敬遠されていた大吟醸酒を全国に先駆けて市販化。「黒龍 純米吟醸 秋あがり」は厳選した山田錦を55パーセント磨き、しっかりとした旨味とスッキリとした味わいです。ワイングラスでいただくと、フルーティーな香りを楽しめます。

 

▲この夜の飲み納めに選んだお酒は「黒龍 純米吟醸 秋あがり」

 

〆はお店の名物「石焼海鮮おこげ」を追加オーダー。熱々の土鍋で運ばれ、スタッフが目の前で玉子餡を注ぎ、よく混ぜ合わせて仕上げます。海鮮の風味とコクは、出汁と塩味でしっかり味つけ。おこげの香ばしさが加わってクセになる味。これだけを食べに来る常連さんもいるとか。ボリュームもあるので、お腹に余裕を持たせておきましょう。

 

▲〆に食べたい名物「石焼海鮮おこげ」

 

 

日本酒ファンはもちろん、お酒の飲み方を覚えたいという人におすすめの【ホテル龍名館東京】の日本酒フェア。熟成を深めて旨みの増した“ひやおろし”と、職人がお酒に合うよう腕を振るった料理の数々は、一品ずつ心して味わいたい美味さです。秋の味覚を思う存分楽しんでみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:ホテル龍名館東京 https://www.ryumeikan-tokyo.jp/


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