special reportスペシャルレポート

予測できない驚きのディナー【星のや東京】秋の「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」

Twitter
LINEで送る

日本有数のオフィス街として知られる東京・大手町にある高級温泉旅館【星のや東京】。発酵食品とフレンチの調理法を融合させたコースディナー「Nipponキュイジーヌ ~発酵~」の秋メニューが登場しました。料理に合わせたお酒のペアリングも意表をついたセレクション。最後の最後まで楽しめます。

 

|旨味を引き出す発酵食材が隠し味

 

味噌や醤油、お漬物や納豆など、古来より発酵食材に親しんできた日本人。世界的な賞を受賞してきた浜田統之総料理長が考案した発酵食材を活かした料理の数々は、星のや東京に宿泊するゲストだけが味わえる特別な体験です。お酒はお任せのペアリングでいただきました。

 

▲ダイニングはカウンター席のほか、10部屋の個室や半個室を用意

 

最初のお酒はシャンパンでもスパークリングワインでもなく、秋らしい洋梨のシードル「ラ・ガロティエール ポワレ」という意外性。この日のディナーは小さな予想外からの始まりです。爽やかな甘味とさり気ない洋梨の風味は、続いて運ばれる最初の料理「<丸> 竹炭チュイル/すっぽんのパートブリック包み」とのペアリングにもピッタリです。

 

▲フランス・ノルマンディで醸造された洋梨のシードル「ラ・ガロティエール ポワレ」から秋のディナーが始まります

 

さらに続く驚きが、ラグビーボール型の木の器。標高1,400mから1,800mに広がる長野県の清水牧場で生産された「バッカスチーズ」に竹炭を加えた、真っ黒な薄焼きのチュイルと、ピックに刺したすっぽんのパートブリック包み。香ばしく焼いたチーズに、シュワッと弾ける洋梨のシードルがよく合います。

 

▲ 「<丸> 竹炭チュイル/すっぽんのパートブリック包み」

 

<丸>に使われる特異な器は、旅館建設時に出土した大名屋敷の炭化した柱で、藩政時代に大老を多数輩出した名門酒井家の上屋敷の部材です。白い部分は新しい木材を使い、時代の重なりを表わします。

 

▲出土した庄内藩酒井家の屋敷の柱と、頭が片方に折り曲げられた四角い断面の和釘

 

冬眠前の秋が旬のすっぽんをミンチ状にしてべっこう醤油で味つけし、クレープ状のパートブリックで包んだ一品。パリパリの皮に、際立つ旨味と優しいほろ苦さを味わいました。出土した和釘は刀と同じ製法で作られ、数百年ものあいだ芯まで錆びないと言われるもので、鍛冶職人が打ち直してピックとして使います。

 

▲「すっぽんのパートブリック包み」は、江戸時代の和釘を打ちなおしたピックでいただく、特別感のある体験です

 

ミンチにした肉と血を使ったフレンチ「ブーダンノワール」は、パートブリックに使われなかったすっぽんの部位を利用。レバーを思わせる、滋養あふれる力強い美味しさです。甘酸っぱい洋梨のピューレを下に敷き、小石に乗ってサーブされます。

 

▲すっぽんを使った滋養あふれるブーダンノワール

 

|小さな料理に秘めた多彩な味


次のページへ

1 2 3 4

border