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東日本大震災を想う旅

【思考をキレイにする旅の仕方(359)】東日本大震災を想う旅

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宮城県は浦戸諸島の桂島を歩いていました。

 

記憶を辿りながら。

 

 

15年ほど前、トランプ旅で訪れていたのです。

 

トランプ旅とは、青春18きっぷを使った遊びで、

 

トランプが出たマークで路線を、出た数字で降りる駅や乗る時間を決めて進んでいくミステリーツアー。

 

 

ある時、トランプ旅で東北に向かったことがありました。

 

松島まで来た時、夕方になります。

 

その日、宿泊する場所を探さなくてはなりません。

 

一緒に旅していた友人の子どもがトランプをひくと「東」が出ました。

 

「宿あるのかなぁ……」4人で海を見つめます。

 

 

その日は、松島の東の海に浮かぶ桂島の民宿に泊まることに。

 

高齢者の女性が一人でやられていました。

 

1カ月前に旦那さまを亡くされ、宿を閉めることを決めたところで、私たちを最後のお客さんとして招き入れてくれました。

 

 

東日本大震災が起きた時、あの女性は大丈夫かなぁと頭を過ります。

 

しかし、思っただけで行動には移さず、長い年月が経っていました。

 

滞在した桂島のペンションの女将さんに話をうかがうと、

 

当時、お世話になった民宿のおばさまは、塩釜市の施設で暮らしていることを教えてくれます。

 

そして、東日本大震災の想い出を話してくださいました。

 

 

桂島にも津波は押し寄せました。

 

高台に避難しながら、ご近所づきあいのある人たちが声を掛け合います。

 

「○○さんは?連れてくる!」

 

消防団の方が呼びに行き、連れてきたらしい。

 

こうして桂島では、一人の死者行方不明者を出さなかったのです。

 

「近所づきあいは面倒なこともあるけど、いいことの方が多いのよね」

 

彼女は窓から見える海を眺めながら、つぶやきました。<text:イシコ


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