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男性学から学ぶデキる女性へと成長するヒント4

現実に絶望しないためのヒントはあのアニメ?!「男性学」から学ぶ“デキる女性”へと成長するヒント(4)

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最近では「仕事も育児も家事もこなす」女性の大変さがクローズアップされることが多い一方で、男性も「しっかり仕事するのはもちろん、家事も育児も積極的にサポートするべき」という風潮になっています。男性はもしかしたら女性と同じくらい、またはもっと“大変さ”を抱えているのかもしれません。

 

そんな現状について「男性学」を提唱する田中俊之さん(以下、田中先生)の言葉から、現実と折り合いをつけながらうまくやっていくにはどうしたらいいのかを知り、“デキる女性”へと成長するヒントを紐解いてみましょう。

 

▲大正大学心理社会学部人間科学科 准教授・博士 田中俊之さん

 

 


 

 

第4回:「結局、女も男もつらいよ?」会社員・はなこ(28歳・独身)&会社員・たろう(34歳・既婚・子どもあり)の場合

 

ここは、あるオフィス街にほど近い(架空の)居酒屋。はなこと田中先生を隣で聞いていた、既婚男性のたろうが加わり、話は「過酷な現実をいかに乗り切ればいいのか」という方向へ。さて、田中先生のアドバイスは…?

 

 

 

 ■大切なことは『きかんしゃトーマス』が教えてくれる?

 

《たろう》

先生…弱音吐いてもいいですか~。正直毎日きついです…。

 

 

《田中先生》

現実を正面から直視してしまうと嫌になってしまうから、目をそらす方法を考えてみましょうか。現実を直視しろというアドバイスをされても聞く必要はないし、適度に目をそらすことは必要だと思いますよ。

 

そして、明日もなんとか生きのびるためには、「(自分が誰かの)役に立つ」というキーワードがけっこう有効なんです。

 

 

《はなこ》

そういえば「役に立つ」って、考えてみたらなかなか言われないかも。

 

 

《田中先生》

働いていたり、社会で生きていたりするのに「社会の歯車になりたくない」というのもおかしな話で、歯車として役に立っている、ピタッとはまっている気持ちよさというのも実はあるのではと思うんですよ。

 

ちなみに、おふたりは『きかんしゃトーマス』というアニメを知っていますか?

 

 

たろうはなこ

はい、知ってます。(なんで突然…?)

 

 

《田中先生》

あのなかで鉄道の管理者であるトップハム・ハット卿が機関車たちに「おまえは役に立つ」と言うシーンがよく出てきます。ソドー島鉄道に混乱と遅れが生じることはとにかくいけないことなので、そうならないために機関車たちは歯車としてよく働きます。チームで働くことを上手に伝えている物語だと思います。

 

Blanscape / Shutterstock.com

 

私はあの番組を見ると「今日も真面目に仕事をしよう」「自分の役割をきちんと果たそう」と思います(笑)。職場の一員として、遅れと混乱が生じないようにしっかり働こう、と。

 

特に男性にはぜひ一度『きかんしゃトーマス』をじっくり見てほしい。急行列車がいばっているのですが、貨車にもちゃんと役割がある、とか機関車だけが優秀だと勘違いして先走ると、ソドー島鉄道に混乱と遅れが生じるとか。そういうところをぜひ見てほしいです。

 

トーマスの世界の機関車たちはレールから出られないけれど、私たちは出ることができます。男性も女性も、仕事をしながら育児や家事に関わる時間が増えたことで、たとえ少し出世が遅れたとしてもできることは必ずある。

 

「急行列車のようにがむしゃらに働き続けることが偉い」という考え方は一度横に置いてもいいのではないでしょうか。一時、貨車として歯車として全力で「役に立つ」時期があったっていい。
女性だけでなく男性も、ライフスタイルの変化にあわせて働き方を選んだり、変えたりできるはずです。さらに、仕事を辞めるという選択肢もあるのだと思った上で、自分で選んで働くことが大事だと思います。

 

 

《たろう》

『きかんしゃトーマス』がまさかそんな深い話だったとは…。息子と一緒に今度みてみます!

 

 

《田中先生》

今の時代を生き抜くコツは、世間の現状のルールにうまく沿いながらも、心は少し自由でいること。そして、自分らしさを見失わないこと。

 

たろうさんも、はなこさんも「自分は何のために働きたいのか?」「(仕事や家庭の)歯車になっている以外の時間にどうしたら心地よいのか?」を時々立ち止まって考えてみてくださいね。その時、自分が誰といると心地いいのかを考えてもいいと思います。ただ賛成してくれるだけではなくて「あなたがやっていることはおかしいから立ち止まった方がいいよ」と時には厳しいことも言ってくれる人を大切にしてくださいね。

 

そして、現実や人と向き合いすぎると危険なこともあります。直視しないで目をそらすからやっていけることもあるはず。

 

 

《たろう》

たしかに…仕事や育児でヘトヘトな時は、奥さんとあえて向き合いすぎない方がいいなと感じることもあるなぁ…。

 

 

《はなこ》

(そうなんだ…)

 

 

《田中先生》

そうそう、現実を直視するよりは、時々チラッと現実を見つつも「今は大丈夫だな」と確認しながら“できるだけ安定稼動していく”方がいいと思います。でないと、ソドー島鉄道に遅れと混乱が生じてしまいますからね!(笑)

 

 

<終わり>

 

 


 

 

現在が“男女双方にとって生きにくい社会”であること、“男性の方がいじられやすい社会”であること、“男性が仕事を辞める選択肢があってもいい”こと、そして“厳しい現実を直視しすぎない”こと。4回にわたってお送りした「男性学」で少しずつ“デキる女”になるためのヒントが見えてきたと思います。ぜひ自分の置かれた状況に照らし合わせて参考にしていってくださいね。<text:Hisae.I>

 

注:「田中先生」の発言は田中俊之さん(大正大学心理社会学部人間科学科 准教授・博士)へのインタビューによるものです


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