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マーク・ジェイコブスが放出する無敵エネルギー

出典:Debby Wong / Shutterstock.com

働き女子の日常を変えてくれる?! マーク・ジェイコブスが放出する無敵エネルギーの源

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【うるおい女子の映画鑑賞】 第62回『マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン モード界の革命児』(2007年・フランス)

 

「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの。そんな視点から今回は、自身のブランド、そしてルイ・ヴィトンのアート・ディレクションを手がけるファッションデザイナー、マーク・ジェイコブスの目まぐるしい日々を追ったドキュメンタリー映画『マーク・ジェイコブス&ルイ・ヴィトン モード界の革命児』(2007・フランス)を紹介します。

 

出典:IMDb.com

 

ファッション界の新星だったマーク・ジェイコブスが、老舗メゾンであるルイ・ヴィトンのアート・ディレクションに抜擢され、同ブランドの地位を不動のものにしたその舞台裏が小気味いいテンポで映し出されていきますが、その実情たるや過酷の極み。不眠不休が続く中、タバコとプロテインバーで自らを奮い立たせ、ふたつのショーの準備をすすめるプレッシャー、重圧、時間との戦いの壮絶さといったら…。

 

 

 

|ペース配分しない生き方

 

ヨレヨレのTシャツにジーンズにスニーカー。マーク・ジェイコブスの普段着は驚くほどにカジュアル。無秩序にも見える斬新なデザインでファッション業界に熱狂を生み出し、一流老舗メゾンであるルイ・ヴィトンのアート・ディレクターに大抜擢された男の素顔は、拍子抜けするほどに自然体でフレンドリーです。

 

とにかく自分の感覚、感性に忠実に従っていて、悪趣味とエレガントのぎりぎりの線を狙い、妥協は許さない。効率の良さを追求したり、体力の温存やペース配分をすることとは無縁の仕事ぶりは、見ているだけで血圧が上がりそうなほどにアドレナリンが放出されています。ショーが終わった直後、熱狂から逃げ出して車に乗り込みタバコをふかしながら「終わりはない」と疲弊しきった彼の様子は、いかにこの仕事が過酷で、全神経をすり減らして向き合っているのかが伺い知れます。

 

 

 

|創造のエネルギーを放出する源

 

「こんな生き方疲れるだろうなー」と凡人としては思わずにはいられない反面、新しいデザインをお披露目するときの彼は少年のように目を輝かせ、原動力となっているエネルギーをピュアに放出させます。世界的デザイナーであるにもかかわらず、その様子は「自信」「プライド」とはまた違い、創造のエネルギーに突き動かされているという印象です。だからこそ、アトリエの仲間たちをも巻き込んでいく求心力があるのです。

 

かのVOGUE編集長アナ・ウィンターを前にしても物怖じすることがなかったり、草間彌生のもとを訪れては成り立っているのか成り立っていないのかわからない会話を通して謙虚にインスピレーションを得ていたり、ルイ・ヴィトンのコレクションで村上隆を大抜擢してコラボをしてみせたり、どこにいても誰といても常に自然体のマーク・ジェイコブス。もちろん、表に出さないプレッシャーは山ほど抱えているにしても、自分の中の”好き”や”ワクワク”を敏感に察知して、それらに対して妥協しない姿勢から生まれるピュアな創造のエネルギーは最強なんだろうなーと、目をキラキラさせている彼をみて羨ましく思えます。

 

日々、仕事のストレスやプレッシャーを抱える働き女子であっても、そんなエネルギーを少しでも発して仕事に向き合えれば、日常の景色ががらりと変わってきそう。遠い世界のお話だけど、マーク・ジェイコブスのポジティブなエネルギーにぜひ感化されてみてくださいね。<text: kanacasper(カナキャスパ) top image:Debby Wong / Shutterstock.com>


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