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カリフォルニアで裸に

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輝く太陽、真っ青な空、きらめく波。未来感溢れるスポーツカーでビーチへ繰り出しサーフィン。開放的な空気と自由なスピリットで、世界中からの羨望を集めた地。そんなカリフォルニアのデザインはどこから来たの?
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国際的なスターデザイナー、レイモンド・ローウィが、アート・センターの卒業生を集め数週間でデザインを完成させたスポーツカー。独特の未来感溢れるデザインや飛行機のような内装で絶大な評価を得た。

 第二次世界大戦後、兵士の帰還や移住などによって住宅や生活空間への需要が急増したカリフォルニア。これに応えるべく、軍需産業により生み出されたさまざまな素材や技術を活用し、大胆で実験的なデザインの家具や住宅が数多く登場した。

 デザイナーのチャールズ&レイ・イームズ夫妻は、大量生産できる素材を使ってさまざまな家具を創った。例えば、ファイバーグラスをプラスティックに混ぜる事で丈夫で軽量にしたFRP(繊維強化プラスティック)を使ったラウンジ・チェアや、足をけがした兵士のために考案された成形合板を応用した曲面を持つ木の椅子などだ。また「これぞカリフォルニア!」と言いたくなるような “プール付きの家” を生み出した、リチャード・ノイトラも忘れてはならない。これらの建築ではリビング/ダイニングを一体とする発想やインドアとアウトドアの境を持たないなど、住居建築の革新への足がかりにもなっている。

「彼の物の見方はモダンすぎる」ということで大学を退学させられたというイームズは、カリフォルニア州出身のレイ・カイザーと再婚しロサンゼルスで大成功を収めた。イームズ邸は工業化時代の新しい建築のあり方を示すものとして、記念碑的な評価を受けている。

 イームズの家具に代表される「ミッド・センチュリー」と呼ばれた時代を体感できる大規模な展覧会『カリフォルニア・デザイン 1930-1965 ーモダン・リヴィングの起源ー』展が現在、六本木の国立新美術館にて開催中だ。カリフォルニア・モダンらしく、会場展示の冒頭にはカリフォルニアの広い大地を走るアルミボディーのトレイラーがお出迎え。センターにはカリフォルニアの象徴のごとく、スポーツカーにサーフボードが配され、水着やジーンズといったファッションも紹介されている。カリフォルニアといえばプールやビーチでのマリンアクティヴィティが欠かせないため、水着やサンドレスなども多くデザインされている。この水着は、女性の曲線美を強調するためにスパンデックスなどの合成素材が用いられた。

カリフォルニアではまるで仮装のような水着や、スカートを外すだけで水着になるようなアイデアに溢れた水着も作られた。

 重く苦しかった第二次世界大戦の悪夢から開放されるように、自由で大胆で柔軟な発想が溢れだしたカリフォルニア。若者たちが、裸でスポーツカーに飛び乗りサーフィンに出掛けたように、未来や技術をどこまでもポジティブに取り込んだ。そんなネイキッドなスピリッツが育んだカリフォルニア・モダンは、いまもカリフォルニアに息づいている。世界をリードする数多くの企業、GAPもGoogleをはじめ、ジョブスとウォズがAppleを生んだのもそう、カリフォルニア。そんなカリフォルニアを肌で感じてみるチャンスだ。

明るく心躍る時代のカリフォルニアデザインが希望に溢れた当時の空気を感じさせてくれる。

 

国立新美術館で2013年3月20日(水•祝)~ 6月3日(月)開催
毎週火曜日休館 ※ただし4月30日(火)は開館
http://www.nact.jp/exhibition_special/2013/california/

text::chibahidetoshi

 


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