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芸術家・村上隆が描く未来

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現在公開中の映画『めめめのくらげ』が注目を集めている。その理由は、愛らしいキャラクターが登場するから、というだけではない。この作品のメガホンを取ったのが、世界的に知られる現代美術家・村上隆氏であるから。果たして、彼のメッセージしようとしている事とは?

©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 ルイ・ヴィトンや六本木ヒルズ、ミュージシャンの「ゆず」とのコラボレーションなどで知られる、ポップなスマイルのお花のキャラクター。誰もが一度は目にしたことがあるだろう。アニメのような作風で世界的に名を馳せる現代美術家、村上隆氏が新たにチャレンジしたのが、CGを駆使した映画『めめめのくらげ』だ。

 1962年・東京生まれ。高校卒業後、アニメーターを志すが挫折。東京藝術大学に進んで日本画を学ぶが、1991年に個展「TAKASHI, TAMIYA」を開催して現代美術家としてデビュー。1993年に同学大学院美術研究科博士後期課程を修了後、1998年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校美術建築学部の客員教授を務めている。

「めめめのくらげ」を公開しているTOHOシネマズ六本木ヒルズは現在、くらげ坊をはじめ村上隆一色! 同じ六本木ヒルズ内では「村上隆 めめめのくらげの世界展」(ROPPONGI HILLS A/D GALLERY)も開催中。

 村上隆の名が広く知られる事となったのは、2000年に渋谷パルコで開催された「SUPER FLAT展」。翌2001年には米・ロサンゼルス現代美術館で開催され話題となった。このSUPER FLAT(スーパーフラット)とは、日本の伝統的な絵画から現代のマンガ、アニメにおける、遠近法を使わない平面的で立体感のない二次元的表現や、ポップカルチャーやキャラクターなどの消費文化を含めた日本社会の状況を “フラットだ” という考え方。SUPER FLATのアートムーブメントは、欧米で大変な人気を得るとともに、国内ではオタクやサブカルチャーの論客たちから口撃の的になったりと、賛否さまざまな反響を呼び起こした。

 とにかく話題に事欠かないアーティストだ。2003年には等身大美少女フィギュア「Miss Ko²」がサザビーズにて50万ドル(約5,800万円)で落札。2010年には仏・ベルサイユ宮殿での作品展「Murakami Versailles」に対し、宮殿にそぐわないとするフランス国内団体が抗議デモを起こしたこともあった。

 そうしたなかでも作品そのものは広く受け入れられており、2003年にはルイ・ヴィトンと春夏コレクション「モノグラム・マルチカラー」でコラボレーション。カラフルなモノグラムの世界観をビジュアル化したバッグや小物を製作。これに合わせて店頭プロモーション用の短編アニメ「SUPERFLAT MONOGRAM」(監督:細田守/製作:東映)が製作された。その後もルイ・ヴィトンとのコラボは続き、2009年には「SUPERFLAT FIRST LOVE」(監督:村上隆/製作:カイカイキキ)を製作。この短編アニメーションを手掛けた頃から映画製作に意欲を見せており、今回の「めめめのくらげ」はまさに10年越しに実現したものと言える。

 

  アーティスト・村上隆が届けたいメッセージとは >>>

 


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