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憧れのステージを支えるプロたちの仕事とは?シルク・ドゥ・ソレイユ舞台裏に潜入!

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鍛錬の積まれたプロフェッショナルな出演者たちの、人間の限界を超えるような、極限のアクロバティックで世界中の観客を魅了する「シルク・ドゥ・ソレイユ』。ステージを観ていると、どうしても華やかな演出や出演者たちのパフォーマンスに目が行ってしまいますが、実はそのステージを支えるスタッフも世界中からプロフェッショナルが集っています。

 

今回は特別に許可を受けて『Michael Jackson ONE(マイケル・ジャクソン ワン)』のバックステージに潜入。その煌びやかな衣装や出演者たちのメイクアップの舞台裏、そして『シルク・ドゥ・ソレイユ』で働く方法に迫りたいと思います。

 

 

取材協力:シルク・ドゥ・ソレイユ  photo:Akihiro Itagaki

 

 


 

 

まずは衣装について。説明してくれたのはAssistant Head of WardrobeのJulie DeSimoneさん(以下、ジュリーさん)です。

 

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【衣装について説明してくれたジュリーさん】

 

ジュリーさんによれば『Michael Jackson ONE』の衣装デザインは、レディ・ガガ、ブリトニー・スピアーズなどの有名ミュージシャン、そしてマイケル・ジャクソンのラストツアー「Michael Jackson’s This Is It」の衣装デザインを担当したZaldy Goco(ゾルディ・ゴコ)が担当。各演目に使用されている楽曲のMVからインスピレーションを受けてオリジナルでデザインされ、さらに各衣装にはマイケルの楽曲名にちなんだ名前が付けられているとのことです。

 

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『Michael Jackson ONE』では全部で1000点を超える衣装が使われているそうで、その中でもデザインや作りが特徴的な衣装をいくつかジュリーさんに紹介してもらいました。

 

 

 

まずは「Muse(ミューズ)」という役名のギタリストの衣装。

 

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演目中「Muse」の持つギターは火を吹くため、防火用の生地を素材に制作されていました。

 

 

 

そして演目「Dirty Diana(ダーティ・ダイアナ)」の衣装。

 

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(c)Aaron Felske

 

Dirty Diana

 

7,000個以上のスワロフスキーが散りばめられたマントの裏地は実際に世の中に出回っていたタブロイド紙(新聞)をコラージュしたデザインになっています(日本人である私たちは、意外にも日本の新聞が多用されていることに驚きました!)。

 

 

 

演目『Thriller(スリラー)』に登場する「Ghoul(グール)」役のヘッドピース。

 

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(c)Aaron Felske

 

Ghoul

 

演目中にはたくさんの「Ghoul」が登場しますが、それぞれが異なるデザインの一点物とのこと。ネズミやカラスがくっ付いていて、とてもおぞましい印象です。

 

 

 

演目『Billie Jean(ビリー・ジーン)』の衣装。

 

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(c)Aaron Felske

 

Billie Jean

 

真っ暗な舞台上で腕・足・靴・帽子に付けられたLEDの灯りだけが見えるデザインになっていました。

 

 

 

演目『I Just Can’t Stop Loving You(キャント・ストップ・ラヴィング・ユー)』 の衣装のジャンプスーツ。

 

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演目中キラキラと煌めくこの衣装は、大量のLEDが内蔵されています。

 

 

 

演目『Smooth Criminal(スムーズ・クリミナル)』の衣装。

 

"Michael Jackson ONE" Sneak Peek

(c)Isaac Brekken/Getty Images

 

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背中にはブラックライトに反応する大きなドラゴンのプリント(日本の刺青をイメージしたとのこと)が施されていました。私たちが見たステージでは、ちょうど日本人のダンサーチームが演じていて、とてもクールでした。

 

 

 

そしてジュリーさんによれば、衣装チームは裏方を支えるチームの中でも一番大所帯で、全部で33人のスタッフ(LED 担当が2人、縫製担当が3人、メイクスタッフが4名、靴とハットを担当するクルーが3名、フィッターが9名など)が働いているそうです。

 

sewing

 

さらに1000点を超える衣装があるため、洗濯もショーの間にスタートさせて、夜中(場合によっては翌朝)までかかるのだとか。でもジュリーさんは『仕事はハードなのは間違いないけど、とっても楽しいし、達成感や喜びも大きいの!』と笑顔で語ってくれました。

 

 


 

 

そして、メイクアップ。説明してくれたのはLead Wig & Makeup TechnicianのTisha Tinsmanさん(以下、ティーシャさん)です。

 

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【メイクについて説明してくれたティーシャさん】

 

メイクアップのデザインは、これまでシルク・ドゥ・ソレイユの16本の作品でメイクアップデザインを手がけてきたNathalie Gagné(ナタリー・ガニエ)が担当。本番では出演者はセルフでメイクを行なわなければいけないそうで、ティーシャさんは彼女がデザインしたメイクの方法を出演者たちに教える役割なのだそうです。

 

"Michael Jackson ONE" Sneak Peek

(c)Isaac Brekken/Getty Images

 

ショーは「1日2公演」行うのに対し、メイクは「1日1回」しかしないそうで、出演者たちはメイクが落ちないよう一時間半くらいかけて念入りにメイクをすると言います(ショーとショーの間にはリタッチしかしないそうですが、50名以上の出演者が一斉に行うので、メイクルームは大混雑になるそう)。

 

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【メイクルームには出演者が付けるヘッドピースやウィッグがズラリ。壮観な光景です】

 

使用しているコスメのブランドは“秘密”とのことですが、手順はクリームベースからスタート(目の周りにはウォータープルーフの物を使用)。次にパウダーで定着させて、アイシャドーをくすんだ感じなり過ぎないように色を乗せていくのだそうです。
※このプロセスを経ることで2回のショーでもリタッチがほとんど必要なくなるくたい落ちにくくなるそう

 

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【こちらのスワロフスキーで装飾されたアイジュエリーはすべて出演者1人ひとりの顔に合わせてカスタムメイドされたものとのこと】

 

 

さらに、出演者の汗のかき具合などによってヘアピースやウィッグを必要に応じてケアをするのもティーシャさんの仕事とのことでした。

 

 


 

 

お話をうかがったジュリーさんとティーシャさんは2人とも自分の仕事に対してのプライドが感じられると同時に、とても生き生きとしていて、目を輝かせて「ここで仕事ができることが本当に楽しいの!」と語っていたことが印象的でした。こうした舞台裏にいるスタッフの献身的かつクリエイティブな働きがなければ、煌びやかで華やかなステージは成り立たないということを実感できます。

 

いまファッションやメイクの仕事に携わっている人、そして勉強中という人にとっては、『シルク・ドゥ・ソレイユ』のような世界的に有名なカンパニーで専門的な経験・知識を活かして働くことが夢の1つかもしれません。

 

"Michael Jackson ONE" Sneak Peek

【出演者とバックステージスタッフの集合写真】(c)Isaac Brekken/Getty Images

 

 

 

最後にジュリーさんに「どうやったらシルク・ドゥ・ソレイユで働けるのか?」を尋ねてみました。

 

『ほとんどのスタッフは舞台や服飾に関連したバックグランドをもっています。「舞台」の学位を持っている人もいます。私の場合は服飾の学校を卒業し、ハイファッションの世界で働いていました。

 

ここで働くには、舞台や服飾の経験は確実にプラスになるはずです。でも絶対に学校を出ていなきゃいけないって話ではなくて、いつでも情熱を持って、現実をしっかり見つめていれば、あなたが送った履歴書を見て電話をくれる人が必ずいます。シルク・ドゥ・ソレイユは作品ごとにそれぞれ違ったカンパニーですし、世界中を公演していますから、チャンスは沢山あるはずです。ここで働くことに興味ある方は、随時私たちの公式サイトをチェックしてください。いつでもあなたを歓迎しますよ』

 

…アメリカの学校では「舞台」はとてもメジャーな専攻

 


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