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シャネルも嫉妬した天才!?

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”ショッキング・ピンク” を生み、ココ・シャネルが異様なまでのライバル心を燃やした先鋭的な天才デザイナー、エルザ・スキャパレリの名前をご存知?

ポーラ美術館に所蔵されている1937年製の香水『ショッキング』(左)と1951年製の『ショッキング』(右)

 エルザ・スキャパレリ(通称スキャップ)はココ・シャネルと同時期に活躍。1930〜1940年代モードの中心地・パリを代表するデザイナーで、ローマ生まれ。学者の家系に生まれ、フランスに移り住み世界を魅了する大胆なデザインを次々と発表し人気を博していた。ココ・シャネルはスキャップのことを、「服を作るイタリア人芸術家」と小馬鹿にしながらも、大いに嫉妬していたそうだ。その嫉妬心が、今世紀にも繁栄するシャネル王国を育て上げたのかもしれない。

 モデル以上に美しく、スタイルだけでなく着こなしも見事、そして知的であったスキャップ。サルバドール・ダリやジャン・コクトー、マン・レイ、ジャコメッティなどのシュールリアリズム運動の前衛芸術家や、ダダイストたちとの交友もあった。前衛的な芸術性を、当時のコンサバティブだったモードの世界に叩き込み、世界的な評価をさらったのだ。彼女のメゾンで働いていたデザイナーには、後に世界的なブランドを創りあげたピエール・カルダンやジヴァンシーらがいたのだから、その凄さも分かるはず。

 しかし、スキャップはごく短い期間活躍した後、自伝の出版とともに潔くデザイナーをやめてしまった。そんな彼女の残した色の名前に、”ショッキング・ピンク”がある。

 トルソー型のフレグランスボトルといえば、ジャン・ポール・ゴルチエの象徴的なデザインがよく知られているが、これはゴルチエからのスキャップへのオマージュだったのだろうか。スキャップがデザインしたこの香水こそが、オリジナル。この『ショッキング』という名を持つ香水のケースに採用された鮮烈なピンク色が、そのまま”ショッキング・ピンク”と呼ばれるようになったのだ。

 メイク、ファッション、アートの世界でも。今もなお色褪せることなく愛され続けている”ショッキング・ピンク”。仮に、未来にスキャップの名前が忘れられることがあったとしても、「刺激的でなければファッションではない」というスキャップのスピリットと、このショッキング・ピンクは永遠に世界を魅了し続けるだろう。

 

 この香水『ショッキング』は、箱根にあるポーラ美術館に香水瓶などのコレクションとして所蔵されている。

ポーラ美術館 http://www.polamuseum.or.jp/

 


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