【うるおい女子の映画鑑賞】 第58回『私の中のあなた』(2009年・アメリカ)
「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの。そんな視点から今回はキャメロン・ディアスの母親役も話題となった『私の中のあなた』(2009年・米)を紹介します。
|ストーリー
出典:IMDb.com
白血病の姉を救うために、”完璧なドナー”として遺伝子操作の結果生まれてきた11歳のアナ(アビゲイル・ブレスリン=『リトル・ミス・サンシャイン』の女の子!)は、何度も姉の治療のために体に針を刺して犠牲を払ってきました。母サラ(キャメロン・ディアス)を中心に、家族一丸となって長女を支え、長女中心の生活が続くなか、ある日アナは、腎臓の提供を拒否し、腕利きの弁護士を通して両親を訴えます。
|“正義”は愛の前では意味がなくなる
11歳にして献身的に姉を支えるアナですが、姉妹の間には特別で親密な絆が存在します。
出典:IMDb.com
さらに、アナと母サラ、父、兄との関係もとても良好にみえるのに、なぜ彼女は両親を相手に訴訟を起こしたのでしょう?
ともすればセンセーショナルな法廷もののように思われるかもしれませんが、この映画は深い深い家族愛と、そこにおいては”正しさ”というものがいかにあやふやなものか、を描いた、涙なくして観られない感動作です。
白血病の娘を救うために、遺伝子操作という方法で次女を設けた両親。母親のサラは、キャリアも何もかもを投げ捨てて、明るく力強く、長女の命を救うためにひたすら前向きに突き進みます。消防士の父親は、サラより一歩引いて家族を見守り、兄は自身の問題を抱えつつも家族を一番に想い、そして実は、病気の長女こそがもっとも深い愛で家族を包んでいたりするのです。家族の全員がそれぞれに、それぞれが信じる“正義”を忠実に突き進んでいます。
出典:IMDb.com
遺伝子操作、次女の犠牲、家族の犠牲…この家族を、客観的で道徳的な”正しさ”で計り、そこにNOを突きつけるのが劇中の裁判です。不思議なのが、法廷シーンになると、愛に溢れた母親として画面に映っていたサラが、別人に見えてしまうところ。そしてその後、さらに大きな愛が渦を巻いてわたしたちの前に押し寄せるのです。
|疲れた心を癒す至極の浄化ムービー
ラストに向けて怒涛の展開をみせる本作ですが、遺伝子操作、法廷、両親と実施の対立、そんなものは映画のエッセンスにすぎず、もっと大きな愛が驚きをもってわたしたちの胸に迫ります。病気ものにありがちなお涙頂戴映画とは一線を画す、壮大なエンディングに涙は必至。きっとその涙は、心を綺麗に浄化してくれるような、すがすがしく愛に満ちた涙のはずです。
心にスーッと入ってきて、美しい涙を流させてくれる一本ですので、心が疲れて荒んでいるときにこそオススメの作品です。みなさんもぜひチェックしてみてくださいね。<text:kanacasper(カナキャスパ)>
2018/05/15| TAGS: kanacasper
lifestyle
キャメロン・ディアス
コラム
ライフスタイル
レビュー
家族
愛
映画
正義
私の中のあなた
きれいのニュース | beauty news tokyo