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訪ねておくべき名店の味。ホテル雅叙園東京の中国料理「旬遊紀」で美術と美食を満喫

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東京目黒にあるスモールラグジュアリーホテル「ホテル雅叙園東京」。館内には日本料理やイタリアン、カジュアルダイニングを用意するほか、ひときわ異彩を放つのが中国料理「旬遊紀(しゅんゆうき)」です。現存する最も古い回転テーブルがあるお店としてメディアで紹介されるなど、仕事の接待や大切なお客様のおもてなしにも使われる名店となっています。

 

|90年の歴史がある中国料理の名店

 

ホテル雅叙園東京の玄関を入り、広々とした優雅な廊下を100m以上歩いた先にあるのが中国料理「旬遊紀」。昭和6年(1931年)、創業者の細川力蔵が、実業家だった岩永省一邸と、そのまわりの広大な土地を入手し、造改築を経て料亭「目黒雅叙園」を開業。日本料理や本格的な北京料理を提供したのが「ホテル雅叙園東京」の始まりです。

 

▲ホテル内にある中国料理「旬遊紀」の重厚な入口

 

▲入口の天井に飾られた木彫版

 

日光東照宮の鳴龍を描いた日本画家、堅山南風の原図を元にした立体木彫板で、口を開けた龍と口を閉じた龍が阿吽(あうん)になっています。

 

|贅を尽くした特別個室

 

中国料理「旬遊紀」には4部屋の特別個室を用意します。そのうち2部屋は大正元年(1912年)に建てられた旧岩永邸の部屋を移築したもので、鹿鳴館(1883年竣工)や東京駿河台のニコライ堂(1891年)を手がけ、多くの日本人建築家を育成したイギリス人建築家ジョサイア・コンドルの設計です。昭和6年に料亭として開業して以降、絢爛豪華な内装に造りかえられました。1991年にホテル雅叙園東京を改築した際移築して現在に至ります。

 

▲当初は畳敷きだった個室に合わせ、ひざまづいて扉の開け閉めができるよう、ノブが低い位置に造られています

 

▲「南風」

 

旧岩永邸の部屋は出窓が曲面になっていて、当時カーブを描いた建築物は珍しく、職人泣かせだったと伝わります。目黒雅叙園となった当初は社長室として使われ、のちに金箔が張られ堅山南風(かたやまなんぷう)の絵が施され、天井には夏の花を描いた9点の丸い立体木彫板を取り付けました。漆塗りの回転テーブルは、螺鈿で鳳凰の姿がほどこされた豪華な作りです。

 

▲こちらも旧岩永邸の部屋だった特別個室の「玉城」

 

画家の益田玉城(ますだぎょくじょう)の美人画が描かれます。新橋芸者の “東をどり”がモチーフになっていて、女性がすべて似た顔をしているのは、愛妻家だった玉城が夫人をモデルにしたからと言われます。

 

▲玉城が描いた花笠を被った女性たち

 

当時は珍しい腕時計や指輪をした女性が描かれています。昭和初期は懐中時計が主流で、着物姿で腕時計をするのも珍しく、玉城があえて見せたかったのではないかと言われています。

 

 

開業当初は着物で食事をすることが一般的で、中国料理の流れを組んで無数の皿を並べる長崎の卓袱(しっぽく)料理で、遠くの料理を取りやすいよう回転テーブルが考案されたと言われます。中でもこの「玉城」にあるものが、現存する最古の回転テーブルです。今でも会食に使われていて、滑らかな動きに驚かされます。

 

▲草花の絵がほどこされた回転テーブルの螺鈿細工。一部タバコの焦げ跡を修復せずに残しているのも、歴史を伝える試みです

 

「南風」と「玉城」は個室利用できるほか、毎週月、火、木(祝日をのぞく)に開催される宿泊者限定の「雅叙園アートツアー」で見られます。

 

|美味しいシャンパンと前菜を満喫


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