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無理なダイエットが原因ということも。薬剤師が解説【無月経】のメカニズム&対策方法

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「ダイエットをがんばっていたら生理がこなくなった」

 

「生理がこなくなったけど、妊娠以外で考えられる原因はある?」

 

このような悩みありませんか? 生理がこない状態は【無月経】といい、妊娠以外にもさまざまな原因が考えられます。そこで今回は、無月経時の受診目安や、起こるメカニズム、改善方法についてチェックしてみましょう。

 

|無月経の受診目安

 

無月経の症状がみられるようになったときの受診目安について解説します。

 

(1)無月経が3か月以上続く場合

 

無月経の症状が3か月以上継続している場合は、医療機関を受診しましょう。通常、無月経は妊娠や更年期以外で3か月以上続くことがなく、もし続いているようであれば何かしらの異常が起きていると考えられます。ホルモンに原因があるのか、疾患が関係しているのか、その原因は検査をしなければわかりません。速やかに受診し、原因を突き止めましょう。

 

(2)ホルモンバランスの症状チェック

 

無月経の原因のひとつである「ホルモンバランスの乱れ」をチェックしましょう。頭痛、不快感、不眠症、にきびの増加、体重の急激な変動、イライラしやすい、肩こりがひどいなどの症状はホルモンバランスが乱れているときに起こりやすいとされています。該当数が多い方は、ホルモンバランスが乱れている可能性があり、ストレスや生活習慣の乱れ、疲労の蓄積が主な原因でなので、普段の過ごし方を見直してみましょう。

 

|無月経が起こるメカニズム

 

無月経は「ストレスによるホルモンバランスの乱れ」、または「栄養の不足や低体重」によって女性ホルモンが減ることで妊娠のための子宮の準備・排卵がなくなり、月経がこなくなるのが原因です。

 

(1)ストレスによるホルモンバランスの乱れ

 

ストレスは、視床下部の働きを混乱させ、女性ホルモン分泌量のコントロールを困難にします。卵巣から放出される女性ホルモンは、脳の視床下部によって分泌量の調整を受けているため、視床下部の働きが低下すると、ホルモンのバランスを保てなくなるのです。

 

(2)無理なダイエットによる栄養不足や低体重 

 

無理なダイエットによって栄養不足やエネルギー不足が長期間続いてしまうと、視床下部から放出されるホルモンの分泌量が低下。次第に卵巣の女性ホルモン「エストロゲン」の数も減り、排卵がなくなることで無月経が起こります。

 

|無月経には漢方薬を取り入れるのもおすすめ

 

無月経の症状には「血流をよくして子宮や卵巣の機能を回復する」「冷えや疲労によるホルモンバランスの乱れを改善して整える」といった漢方薬を取り入れることで、根本改善をめざせるでしょう。そして、無月経の症状におすすめの漢方薬が下記2種です。

 

温経湯(うんけいとう):冷え症で、手足がほてる方に。「血(けつ)」(栄養)を補い流れをよくして生殖器系の機能を高めるため、月経不順や更年期障害などの女性特有の症状の改善に効果を期待できます

 

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):虚弱かつ冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすい方に。「血(けつ)」(栄養)の不足を補って血液の巡りをよくし、からだを温めることで、月経異常や冷え症などの改善に効果を期待できます

 

なお、漢方薬を使用する際は体質に合っていることが重要なので、漢方薬に詳しいプロに相談することが大切。最近では「あんしん漢方」のように漢方薬に精通した薬剤師がAIを活用して自分に合った漢方を選んでくれるオンラインサービスもあるので、ぜひ利用してみましょう。

 

無月経の原因で多いのはホルモンバランスの乱れですが、過度なダイエットによる栄養不足や低体重も要因となり得ます。栄養の偏りやストレス、疲労の蓄積を改善したり、漢方薬でホルモンバランスを整えたりして、月経のリズムを整えましょう。それでも無月経が気になる方は、無理はせず、早めに婦人科を受診してくださいね。<text:薬剤師・碇 純子(いかり すみこ)>


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