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「親が毎月のようにお金を無心してくる…」親の家計に“介入”してOKですか?

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お金と老後の迷える子羊相談所(1) 両親への援助よりも私たちの老後の方が心配なのに…。両親の家計にどこまで介入できるの?

 

今回の相談者は40代パート勤務のA子さん。A子さんの所には毎月のように両親が「支援してほしい」とお金を無心してくるのだとか。

 

「年金もあるはずなのに“足りない”と言ってきてとても困っているんです。1回の金額もそこまで多くなかったので、ちょこちょこ援助を続けているうちに、それが当たり前のようになってしまったのも悩み。最近主人(個人事業主)の収入が減少傾向で、気がついたらウチの貯蓄が底をついてしまうんじゃないかなって…」

 

そんなA子さんの「親のお金を管理する方法ってあるの? どこまで介入していいか教えて!」というお悩みにアドバイスしてくれるのは、税理士法人フューチャーコンサルティング代表の税理士・小澄健士郎さんです。

 

小澄さん:実は、A子さんと同じようなお悩みのご相談は、よく受ける相談内容の1つ。まず、親のお金を管理する場合には2つの切り口に分けて考える必要があります。

 

(1)信頼関係で管理する

 

(2)法律関係で管理する

 

(1)の『信頼関係で管理する』とは、親からの委託を受けて、親の口座をお子さんが管理するということ。ただし、注意すべき点として、他の兄弟姉妹などから親のお金を流用していないかと嫌疑をかけられてしまうことがあるということ、もし親の預金を使い込んでしまったりしたら「贈与税」の課税対象になってしまうことの2つ。なので、あくまでも親子、そして兄弟姉妹間の信頼関係が成り立つことが前提になります。

 

続いて(2)の『法律関係で管理する』というのは、「後見人」という制度を使って、裁判所の監督の下、親の財産を後見人が管理することになります。この後見人には、子供のほか、外部の専門家(弁護士や司法書士等)が担うことになります。この場合の留意点は、裁判所の監督の下、複数の専門家が関与するので“費用がかかる”ということ。また、平成18年の法律改正により「民事信託」という制度を使って、親族の方が法律的に財産を管理することも可能となりました。ただ、この場合も関係親族間の中で信頼関係が成り立つことが前提になります。

 

A子さん:法的に管理してもらえるなら、安心かもしれません! 費用がかかるのは心配ですが、長い目でみたときの安心感には変えられないかも。

 

小澄さん:そうですね。そして「親の言動にどこまで介入してよいのか?」という問題も含まれておりますよね。こちらもとても重要なこと。A子さんは実際に自分たちの財産を援助として拠出しています。今後も続くことに不安を感じるのは当然。親が自分のお金の範囲の中で生活される分には介入する権利はありませんが、A子さんが援助するお金については介入すべきでしょう。なので、ご両親に「お金は自分のお金(収入や資産)の範囲内でどうやりくりしていくのかがとても重要」ということを理解してもらえない限りは「財産管理していくこと」が実際の解決策になると思います。

 

A子さん:いままで遠慮してなかなか言い出せずにいたのですが、せめて自分たちが出しているお金の部分だけでも両親に利用用途や無駄使いがないかなど聞き出し、一度きちんと話し合ってみようと思いました。納得いく結論が出たら気持ちよく支援できるかもしれませんし、難しそうなら財産管理を視野に入れようと思います。

 

▲監修:小澄健士郎/税理士・行政書士 税理士法人フューチャーコンサルティング代表。30代を目前に将来のことを考え外資メーカーの営業から、税理士をめざし独立したという異色の経歴の持ち主。北海道のラジオFMノースウェーブで、お金の話を、分かりやすく・楽しく伝え、人生をより前向きに1UPさせるきっかけを得る番組『1UP LIFE! 1UP RADIO!』に出演。番組はポッドキャストでも視聴可能。常に念頭においているのは『人生100年時代!!』。少しでも将来の不安を解消し、安心につなげるお手伝いをすることがモットー。


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