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「遺産相続で揉めたくないんです」生前贈与のメリット&デメリットって?

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お金と老後の迷える子羊相談所(5) 親が健在なうちに相続についてきちんと整理しておきたい。生前贈与にデメリットってある?

 

今回の相談者は3人兄妹の末っ子という40代のD子さん。義両親が亡くなった際、夫の親族が遺産相続で大揉めして何年たっても解決しない状況を見て、自分の家族は両親が健在なうちに相続についてきちんと整理しておきたく、生前贈与も検討中とのこと。

 

そんなD子さんの相談「生前贈与のメリットやデメリットについて教えてください!」にアドバイスをしてくれるのは、税理士法人フューチャーコンサルティング代表の税理士・小澄健士郎さんです。

 

小澄さん:まず、お亡くなりになった方の財産は、配偶者の方やお子様など権利がある相続人に引き継がれていきます。これを「相続」と呼びます。一方、生前贈与とは、亡くなる前に、財産をお子様などに引き継いでいくこと。これを贈与と言い、生前に行われるので「生前贈与」と言われたりしています。生前贈与のメリットは次の通りです。

 

(1)相続税対策

 

(2)感謝される

 

これまでは亡くなる時まで財産をもっていると「相続税」が課税されてしまうため、事前に相続財産をお子様などに移転しておくことで税負担を下げようという、いわゆる「相続税対策」として重宝されていました。しかし、最近では、相続後に財産を受け渡しても子供たちなどから感謝されないので、生前に贈与という形で財産を受け渡して感謝してもらうという(2)の目的のために行われるケースも増えてきました。

 

C子さん:確かに直接受け取ることで、ありがたさも倍増しますし、感謝も伝えられますね。

 

小澄さん:でも、デメリットもあるんです。

 

(1)贈与した財産は取り戻せない

 

(2)贈与税が高い

 

贈与という行為は、「あげる」という行為のため、あげた以上は取り戻せません。これからは老後時代がいつまで続くか不透明であり、医療費や介護費の金額も不透明な時代とも言えます。そんな中で、生前に贈与を行うと、いざという時に自分の財産が足りなくなる可能性も出てきます。

 

D子さん:なるほど! いまは両親とも健康ですが、今後大きな病気にかかってしまったり予期せぬことが起こるかもしれませんよね。そんな中で自分たちの資金が尽きてしまったら、子供たちに頼るのは申し訳ないと思うかも…。いろいろな状況を考えて、全員で話し合ってルールも決めた方よさそうですね。

 

小澄さん:そうですね。また、相続税対策のための生前贈与という話もしましたが、一定の金額を超えると「相続税」に比べ「贈与税」の負担が高くなり、税負担が想定以上に増えてしまう可能性もあるので、事前に税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。

 

また、相続の際の財産の分配方法について押さえていただきたいポイントもお伝えしますね。

 

(1)「長子制度」は無くなりつつある

 

(2)介護などの貢献は法律上あまり考慮されない

 

(1)についてですが、昔の日本では「長子制度」がありました。長子制度とは最初に生まれた子どもが財産を相続する制度のことをいいます。この制度自体は1947年に廃止されましたが、現在でも「長子相続」の考え方に従った慣習が一部残っているご家庭もあります。しかし、今は相続人は全員平等という法律上の権利の認識が拡がっており、この平等から離れた分配を行おうとしてトラブルになるケースが多発しているので注意が必要です。

 

また、(2)でも実際にトラブルになるケースが多発しています。献身的に介護をしていたのに、何もしなかった兄弟姉妹と同じ権利では納得できないというトラブルです。しかし、介護の貢献を金銭で評価することが難しく、実際に裁判になっても考慮されないケースも多いのが現実。介護を行う場合には事前に「生前贈与をしてもらう」「遺言書を書いてもらう」ことで、自己の権利を親の生前に確保しておくことが重要となります。

 

D子さん:ありがとうございます。相続でも生前贈与でも、家族間のコミュニケーションが大切になりそうですね。メリットとデメリットを理解した上で、両親や兄弟の考えを考慮して判断したいと思います。

 

小澄さん:おまけで、相続税についてもお話ししておきますね。実は、相続税が支払えないようなケースもよくあることなんです。例えば、相続する財産が「親の会社の株式」や「不動産」などの場合、すぐに換金できず、相続税だけ先に支払う必要が出てくることも。そのような場合には「分割」での納税「お金ではなく不動産」で納税することも認められています。ただし、これは税務署の方との話し合いの上で決定されますので、必ずできるというものではありませんが、そのような制度があることも頭に入れておいてもらえればと思います。

 

▲監修:小澄健士郎/税理士・行政書士 税理士法人フューチャーコンサルティング代表。30代を目前に将来のことを考え外資メーカーの営業から、税理士をめざし独立したという異色の経歴の持ち主。北海道のラジオFMノースウェーブで、お金の話を、分かりやすく・楽しく伝え、人生をより前向きに1UPさせるきっかけを得る番組『1UP LIFE! 1UP RADIO!』に出演。番組はポッドキャストでも視聴可能。常に念頭においているのは『人生100年時代!!』。少しでも将来の不安を解消し、安心につなげるお手伝いをすることがモットー。


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