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鰹出汁が堪らない。星野リゾートの温泉旅館【界 霧島】で満喫「黒豚しゃぶしゃぶ会席」&「朝ごはん」

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地域の歴史や文化、工芸品や独特の食文化などを体験できる星野リゾートの宿泊施設。九州の最南端にある鹿児島県では、時には独特の食文化が発展。霧島高原にある温泉旅館【界 霧島】では、オリジナリティを添えた夕食「黒豚しゃぶしゃぶ会席」と、日頃から鹿児島で食べられている味をそろえた朝食膳を楽しめます。

 

|鹿児島づくしの会席料理

 

夕食は2025年6月1日から提供される「黒豚しゃぶしゃぶ会席」を紹介します。火山の多い鹿児島県は、面積の半分ほどをシラスと呼ばれる火山性の噴出物で覆われ、土地に合ったサツマイモの栽培が盛んです。焼酎の原料としてももちろんのこと、サツマイモを食べさせた黒豚こそ独特の旨味と甘みを感じる逸品です。

 

▲食事処は半個室タイプ

 

焼酎は3種類の芋の違いを楽しめる「芋比べセット」を、スタッフおすすめのソーダ割りでいただきました。左からオレンジ色のサツマイモ “ハマコマチ” と地元伊佐米を使った「伊佐小町」。稀少な紫芋パープルスイートロードを赤ワインに使う酵母で醸した「蔵の師魂 The Pink」。晩酌で疲れをいやすという鹿児島弁の「だいやめ」は、独特の熟成法で香りを引き出しす “香熟芋” を使い、まろやかでキレのある飲み口です。

 

▲個性的なサツマイモを使った焼酎3種の「芋比べセット」

 

繊細な竹籠と、龍門司焼の蛇蝎と呼ばれるヒビ模様の器で登場したのは、鹿児島の伝統的な和菓子「あくまき」をアレンジした一品。もち米を木や竹の灰汁(あく)に漬けてから煮たもので、保存性がよく、薩摩藩では戦陣食にも利用。長じて端午の節句に食べらるお菓子です。上品な灰汁の風味やおかきの香ばしさに、ウニの風味もプラス。モチモチ食感で食欲がわく先付けです。

 

▲先付けの「あくまき 香煎揚げ 南蛮地」

 

桜餅の中に海老のすり身が入り、そら豆のかき揚げと桜の花、フワフワのキノコが飾られます。上品な鰹出汁と桜の花の香りが華やぐ、季節を感じる一品でした。

 

▲出汁の味を楽しむ「煮物椀」

 

古風な朱塗りの岡持ちで運ばれる界名物の「宝楽盛り」。天板は薩摩藩島津家の家紋 “丸に十文字” が抜いてある上質な造りです。2人分の八寸やお造り、酢の物などが入っています。

 

▲家紋入りの岡持ちで運ばれる「宝楽盛」

 

岡持ちの上にのっていたのは、写真左からそれぞれ順才と菜の花利休和えの小皿。さらに海老松風やサーモン棒寿司、北寄貝酢味噌掛けなど、サッパリといただける多彩な味が並びます。

 

▲多彩な味をそろえた宝楽盛りの5品

 

岡持ちの中にはお造り取り合わせ2皿と鶏皮ポン酢、五色饅頭などが入っていて、合鴨ロース苺巻きはジューシーな苺と優しい塩味の合鴨肉が意外性満点の味。鹿児島の郷土料理として有名なきびなごは、足がはやく地元限定でしか食べられない魚です。二つ折りで提供するのが鹿児島流で、酢味噌でいただきます。焼酎のアテには欠かせません。

 

▲きびなごの刺身に鹿児島を実感

 

揚げ物のお皿には甘鯛の桜花揚げと白身魚の四彩揚げ、野菜天婦羅がのり、サクッと香ばしくレモン塩でさっぱりといただきました。

 

▲サクサクの揚げもの3種

 

2025年6月1日から始まる「黒豚しゃぶしゃぶ会席」の台の物「黒豚しゃぶしゃぶ 追いがつお仕立て」。かごしま黒豚のロースとバラ肉の2種類の部位をしゃぶしゃぶで楽しめます。鹿児島では室町時代の末ごろに養豚の記述があるほか、江戸時代も豚や鶏を食べていた薩摩の人々。明治期に、台風に強くシラスでも育つサツマイモを飼料にした黒豚が生産されると東京で人気になり、「かごしま黒豚」が有名ブランドとして知られるようになりました。

 

▲台の物

 

鰹節の生産量が全国の4分の3を占める鹿児島県。豚しゃぶの鍋にも鰹節をたっぷり投入。出汁がとれたら取り皿にあげますが、肉と一緒に食べたり蕎麦のトッピングに使ったりと、たっぷり味わえる贅沢さ。朝夕ともに用意される鰹節も界 霧島ならではの味です。

 

▲鰹節をたっぷり使える贅沢さ

 

旨味たっぷりの出汁でいただく黒豚のしゃぶしゃぶは、生ハムを思わせる絶品の味。野菜とともにほお張ると、野菜が吸った鰹出汁がたっぷりとにじみ出て、口に旨味があふれます。

 

▲黒豚のしゃぶしゃぶ

 

〆として、残った出汁で蕎麦を食べるのも格別です。黒豚や鰹節、野菜や椎茸などの旨味が出汁に凝縮し、贅沢な蕎麦を満喫できました。

 

▲旨味タップリのしゃぶしゃぶ出汁で〆の蕎麦

 

デザートには「界 霧島特製の軽羹(かるかん)あんみつ」をいただきました。鹿児島名産の黒糖を使った黒糖アイスに、江戸時代中ごろに作られ鹿児島土産として人気の軽羹のほか、スイートポテトや苺も添えて黒蜜をかけたご当地の味。ヒビ模様の龍門司焼も印象に残ります。

 

▲デザートは鹿児島づくし

 

焼酎と郷土料理の「あくまき」に始まり、きびなごや黒豚など、鹿児島名物を楽しめる「黒豚しゃぶしゃぶ会席」。とりわけ忘れずに味わっておきたいのが隠れた主役の「鰹節」。煮物椀やしゃぶしゃぶなど、出汁を味わってこその鹿児島です。

 

|朝食は鹿児島の家庭の味


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