その土地の味をクリエイティブに提案する星野リゾートの温泉旅館「界」。2026年6月にオープンした「界 草津」では、群馬県の食材や伝統料理をはじめ、草津温泉名物の湯もみ板を使ったり、“上毛かるた” が登場したり、繭玉そっくりの美しいデザートが現れたりと、ご当地感と遊び心を料理で満喫。同時にオープンしたお店「蕎麦割烹 SAI」の蕎麦料理も試しておきたい味わいです。
|群馬の旅を味で表現「上州豊伝会席」
宿の夕食は群馬県のエスプリが感じられる「上州豊伝会席」をいただきました。こだわりが感じられる地酒のラインアップをはじめ、山国らしいジビエや群馬名産のこんにゃく、鍋の〆は日本三大うどんに数えられる伊香保の水沢うどんなど、一品一品に旅ならではの感動を味わえるコース仕立てになっています。

▲プライベート感のあるお食事処
朝夕の食事が用意されるお食事処は半個室になっていて、プライベートな雰囲気です。それぞれの個室は絹の布で仕切られていて、デザインのモチーフは “高山植物の女王” と呼ばれるコマクサの花で、白根山や草津町の町内でも見られます。
初めに運ばれるのは、吾妻(あがつま)地方の名産品「花豆」を使った「花豆味噌とイノシシのリエット 湯もみ見立て」。イノシシ肉のリエットとネギのペーストを湯もみ板で混ぜ合わせ、群馬県南部にある磯部温泉の「ご縁せんべい」にのせていただく遊び心のある一品です。続く煮物椀は鱧(ハモ)の蓮蒸しで、優しい味わいの出汁に梅肉がさっぱり。じゅんさいの食感も楽しい夏の味です。

▲「花豆味噌とイノシシのリエット 湯もみ見立て」と「鱧蓮蒸し」
雪を頂く名山の多い群馬県は雪解け水が川や伏流水となる、水に恵まれた酒処。そんな地酒のリストから選んだのは、県北部の川場村にある土田酒造の2銘柄。江戸時代までの製造法で手間がかかる生酛(きもと)造りにこだわり、群馬県産の食用米を使うなど、伝統的な製法でアバンギャルドな酒造りをおこなう酒蔵です。「土田生酛」は先付けにピッタリの酸味と旨みの広がる食中酒。もういっぽうの「土田12」は、近ごろ国内外で注目される低アルコール原酒で、料理の味をそこなわない12度ながら、まったりとしたコクと果実感が広がる食事がすすむ味。「界」ならではの創造性豊かな食事に異色なお酒を合わせてみました。

▲アバンギャルドな酒造りを行う土田酒造の「土田生酛」と「土田12」
続いて「宝楽盛り」と「お造り」が運ばれます。木箱に入った「宝楽盛り」のフタには群馬県の郷土かるた『上毛かるた』の絵柄が並び “か・い・く・さ・つ” と読めるのも趣向です。フタを開けると彩り豊かで工夫を凝らした品々が姿をあらわし、多彩な味を楽しめます。いっぽう、この日のお造りは鮪のたたきとカンパチに、鯛。さらにこんにゃくの一大産地でもある群馬県。刺身こんにゃくは梅と青のりの2種類が加わります。

▲様々な味が楽しめる「宝楽盛り」
揚げ物をはさんで登場するのが「上州常夜鍋」。毎晩食べても飽きない鍋がその名の由来。骨付きの鶏もも肉で出汁をとった鍋に豚肉とホウレンソウほか、白葱や椎茸を加えます。特に鶏出汁の味がよく出ていて、ホロホロになった鶏もも肉も美味。〆として、残ったおつゆで日本三大うどんのひとつと言われる群馬県伊香保町の「水沢うどん」をいただきます。モチモチの麺に旨みが凝縮したスープがからむ逸品です。

▲毎晩食べても飽きのこない「上州常夜鍋」
デザートは養蚕が盛んだった群馬県にちなむ、繭玉そっくりの一品です。これ以上ないシンプルな美しさは、スプーンを入れるのがためらわれるほど。フワッと柔らかなムースの中には花豆の餡子が入っていて、上品な甘さを愉しみました。

▲驚きのデザート「界 草津特製 繭玉ムース」
小さな湯もみ板でリエットをすくう先付からはじまって、群馬の地酒や上毛かるたの絵が描かれた宝楽盛り、ツルリとコシのある水沢うどんや美しい繭玉ムースなど、群馬県の風俗や味を界 草津流にアレンジ。また食べに泊まりたくなるディナーでした。
|朝食は和食と洋食から選べます
「界」の朝ごはんは朝食膳。どこか騒然としていて慌ただしくなりがちなビュッフェにくらべ、しっとりと落ち着いた雰囲気の中で、ゆったりとした朝を迎えられる朝食です。連泊しても楽しめるように、和食と洋食から選べます。
富岡市の郷土料理「こしね汁」は、地元名産のこんにゃく、しいたけ、ねぎの頭文字から名づけた味噌仕立ての汁物で、鍋にかけて出来立てを用意。経木で三角形に包まれた「下仁田納豆」もこだわりの名品。さらに草津町名産の花豆の煮物など、地域の味を織り交ぜた朝食です。

▲体に優しい和食膳
手間をかけた洋食プレートも魅力です。おでん種をコンソメで煮込んだ「おでんポトフ」は朝から意外性たっぷり。甘酒と人参のドレッシングがかかるヘルシーなサラダや、イタリアの夏野菜の煮込み料理「カポナータ」など、味わい深い料理が並びます。

▲洋朝食の「おでんポトフ」は試しておきたい味
|2日目の夕食は「蕎麦割烹 SAI」で
界 草津から温泉街へとトンネルを抜けた先にある「蕎麦割烹 SAI」は、宿泊ゲストはもちろんビジターも利用できる星野リゾート初のお蕎麦屋さんです。宿泊者以外の人は、西の河原公園の入口近くから直接お店にアクセスします。今回は2泊目の夕食に、宿泊者限定でいただけるコース仕立ての「地粉生粉打ち蕎麦会席」をいただきました。お蕎麦はすべて十割蕎麦で、蕎麦本来の香りや旨みが口の中に広がります。

▲西の河原公園の入口近くにあるお店「蕎麦割烹 SAI」
地粉生粉打ち蕎麦会席の一品目「蕎麦前一」は、すりおろした “からすみ” が十割蕎麦にたっぷりとかかる贅沢な逸品です。からすみの奥深い旨みが蕎麦とは想像以上にぴったりで、箸の止まらない美味しさ。小鉢には鴨ロースやクリームチーズの味噌漬け、季節のお浸しなどが添えられます。

▲前菜にあたる「蕎麦前一」はからすみの蕎麦
続く「蕎麦前二」は、出汁巻き玉子とサーモンのお造りの2品。とうもろこし餡をかけた出汁巻き玉子は、とうもろこしの自然な甘味が広がります。一方脂ののったサーモンは、刻んだピーナッツがサーモンによく似合い、小気味よい食感も楽しむことができました。

▲「蕎麦前二」はサーモンのお造りと出汁巻き玉子
メインの料理は「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ 蕎麦湯仕立て」と「鴨と葱の焼きしゃぶ」から選べます。「和牛サーロイン~」には、昆布茶を隠し味に使った蕎麦湯をしゃぶしゃぶの出汁に使うのも、蕎麦尽くしの会席料理ならでは。つけダレはなく、蕎麦湯にくぐらせた和牛の旨味をダイレクトに味わえると共に、とろけるような脂の甘味が口いっぱいにひろがります。

▲選べるメニュー「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ 蕎麦湯仕立て」
〆のお蕎麦は「ざる蕎麦」と「かけ蕎麦」から選びます。とっても大きな有頭海老や野菜の天ぷらも付いたボリューム満点のメニュー。香りが引き立つ十割蕎麦は、塩やそばつゆで味わいました。

▲「ざる蕎麦」と「かけ蕎麦」から選びます
デザートは「温泉卵プリン」、「黒胡麻和三盆のわらび餅」、「ミルクアイスクリーム 花豆添え」から選べます。特に標高1,000メートルほどの高地では親指大の大きな実をつける花いんげんは、草津では “花豆” とも呼ばれ、花豆甘納豆は草津温泉を代表するお土産です。大きな花豆が飾られたアイスクリームはさっぱりとして、花豆も甘さ控えめ。草津の味が印象に残ります。

▲選べるデザートから「ミルクアイスクリーム 花豆添え」
|「蕎麦割烹 SAI」はランチもおすすめ
界 草津をチェックアウト。帰る前のランチも「蕎麦割烹 SAI」でいただくことに。
香り高い蕎麦の味をダイレクトに楽しめるざる蕎麦をチョイス。「天ぷらざる蕎麦」には大海老や季節の野菜の天婦羅が5種類ついています。十割蕎麦の口の中に広がる芳醇な香りを楽しみながら、ボリュームのある天婦羅でお腹いっぱいになりました。

▲ランチメニューの「天ぷらざる蕎麦」
標高1,200メートルほどの高地に位置する草津温泉。気温は札幌とほぼ同じと言われ、秋から冬にかけては温かいお蕎麦も人気です。「鴨南蛮蕎麦」は鴨肉の旨味もたっぷり。焼きネギの甘みも溶けだして、身体が温まる一品です。各テーブルには善光寺(長野市)の門前にお店を構える「八幡屋礒五郎」の七味と柚子七味、ガラムマサラの3種類が用意され、「鴨南蛮蕎麦」にガラムマサラをかけるのがスタッフ直伝の裏ワザ。初めは何も加えず蕎麦の味を試し、途中七味で味を引き締め、最後にガラムマサラでガラリと味変。クセになる食べ方です。

▲草津の寒い冬にぴったり。熱々の「鴨南蛮蕎麦」
蕎麦の味変が楽しめる「炙り味噌」も試しておきたい一品。麹(こうじ)をふんだんに使った味噌には蕎麦の実をトッピング。別添えのクルミやネギを加え、ミニ湯もみ板で混ぜ合わせ、蕎麦と共にいただきます。蕎麦の実や胡桃の食感も小気味よく、味噌の甘味と蕎麦の相性も抜群。お酒のアテにもぴったりです。

▲蕎麦やお酒のお供に「炙り味噌」
群馬の味をクリエイティブに楽しめる【界 草津】の夕食「上州豊伝会席」をはじめ、星野リゾート初の「蕎麦割烹 SAI」での意外性あふれる蕎麦会席や蕎麦ランチ。そしてゆったりと楽しむ朝食など、旅の好奇心が刺激される、イマジネーションに彩られたメニューをそろえます。開湯千年を超えると言われる草津温泉の新し味をぜひ確かめてみてくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:界 草津 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikusatsu/>
2026/09/20| TAGS: lifestyle
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