“海の京都” と言われる京都府の日本海側を運行する京都丹後鉄道。そのレストラン列車「丹後くろまつ号」の料理が2026年10月から翌3月まで秋冬メニューに変わります。今回のテーマは『海軍レシピでめぐる列車旅』。舞鶴に所蔵されている旧海軍の料理本のメニューを現代風にアレンジ。車窓から日本海を眺めながら料理を楽しむ人気のコースです。
|特別仕様のレストラン列車
丹後くろまつ号は「ななつ星in九州」や「九州新幹線800系〈つばめ〉」などを手がけた水戸岡鋭治氏によるデザインです。黒いボディカラーに金色のラインや文字をちりばめ、松の意匠を採用。車内には木の温もりを活かすなど和のテイストに彩られたレストラン列車です。

▲途中の宮津駅に停車中の丹後くろまつ号
ランチコースが運行されるのは、金、土、日、祝日で、天橋立駅を13時5分に出発。14時50分に西舞鶴に到着する約29 km、1時間45分の旅です。

▲木の風合いを活かした車内
内装には天然木が使われ、テーブルを照らすレトロなランプなど、雰囲気のある列車旅を楽しめます。
|海軍レシピを元にした創作料理
今回のランチコースで料理を担当したのは、西舞鶴で愛されてきた「アメイロビストロアルル」。このたび歴史あるお茶屋の町家を活かした空間へと移転し、近日、新生「アルル」として生まれ変わります。
まずはじめに4皿の前菜が運ばれます。丹波鳥の出汁を使ったゼリーに旬の素材を閉じ込めた「ゼリー寄せ」と、心地よい酸味にイカの歯ごたえを楽しめる「アオリイカのマリネ」。野菜をじっくり煮込んだ「カポナータ」。そして懐かしい和の味わい「栗きんとん」など、多彩な味を楽しめます。

▲4種の「前菜盛り合わせ」
クラフトビールやワイン、日本酒のほか、ソフトドリンクなども地元丹後の味をそろえます。注文したのは丹後半島の先端に位置し、海辺に舟屋が連なる伊根の酒蔵、向井酒造の「伊根満開」。日本で最も海に近い酒蔵として知られ、酒米の “五百万石” に復刻栽培した古代米(紫黒米)を配合した赤い日本酒です。濃厚で米の旨味とフルーティーな甘酸っぱさ感じる、飲みやすいお酒です。

▲桜色をした京丹後の地酒「伊根満開」
旧海軍の料理をアレンジした2品も、心して味わっておきたい料理です。「カレーコロッケ」は、言わずと知れた海軍グルメの代表格カレーを使ったコロッケです。スパイスを特に効かせてより存在感が増しています。いっぽう、船上で食べられていた「具だくさんの白乳煮」をアレンジした「クラムチャウダー」も具がたっぷり。これからの季節は体が温まる一品です。

▲船にまつわる二品、「カレーコロッケ」と「クラムチャウダー」
舞鶴の旧海軍基地は「肉じゃが」発祥の地とされ(諸説あり)、今では全国で食べられるいわば国民食。じっくりと煮込まれていてホッとする味わいです。さらに出汁が効いた「茶碗蒸し」は滑らかな口当たり。中には鶏肉や海老、椎茸、銀杏など、様々な具が隠れていて、素材個々の味を楽しめます。

▲「肉じゃが」と「茶碗蒸し」
トロトロに煮込まれた厚切りの角煮を挟んだ「豚角煮まん」は満足感あり。さらに厚切りのロースビーフをこれでもかとトッピングしたゴージャスな「ローストビーフ丼」は、甘辛な海軍秘伝(もしや軍事機密?)のタレでいただきます。牛肉の味を満喫しました。

▲満足感たっぷりの「豚角煮まん」と「ローストビーフ丼」
驚いたことに肉料理が3連続。メインディッシュは「和牛ハンバーグ(黒いソース)」。丹後くろまつ号をモチーフに、イカ墨を使った真っ黒なソースがインパクト大。和牛の肉汁溢れるハンバーグの美味しさはもちろん、ソースのうま味もたっぷり感じられる逸品です。

▲見た目も衝撃的「和牛ハンバーグ(黒いソース)」
|想い出に残る風景
車窓の景色もレストラン列車の楽しみのひとつ。要所要所でアテンダントの説明もありました。

▲奈具海岸では15分ほど停車
京都丹後鉄道の中でも随一の絶景ポイントと言われるのが、丹後天橋立大江山国定公園に指定されている奈具海岸。この日はあいにくの雨でしたが、紺碧の日本海に浮かぶ白い岩肌を覆う松の木のコントラストが印象的。ここで15分ほど停車するので、景色と食を楽しめます。

▲「復刻 エッグプディング」と「丹鉄珈琲」
デザートは卵、牛乳、砂糖、香料を使った明治期の「カスタード」を復刻したちょっとレトロなエッグプディング。カラメルのほろ苦さが濃厚な卵のコクを引き立てます。さらにオリジナルブレンドの「丹鉄珈琲」を用意。気に入ったら車内販売でも購入できます。

▲由良川橋梁 <画像提供:WILLER TRAINS(京都丹後鉄道)>
レストラン列車の旅も終盤にさしかかる14時25分ごろ、鉄道ファンの間で有名な由良川橋梁にさしかかります。由良川の河口に大正13年(1924年)に完成した約552 mの鉄橋で、線路から水面まではわずか6 m。左右の車窓には水面が間近に見えて、川面を滑るように走る印象的な景色です。

▲前の窓からも由良川橋梁が観られます
由良川橋梁では徐行運転。川幅の広い由良川を渡る景色はドラマチック。想い出に残る風景です。
|記念の品々やお土産の車内販売も
プランには限定の記念乗車証が付いているほか、車内では記念グッズの販売もありました。

▲限定グッズなどを車内で販売
アテンダントが各テーブルを巡り、丹後くろまつ号グッズや丹鉄珈琲、キーホルダーなどを紹介。販売をしています。

▲記念乗車証と「舞鶴鎮守府ビスケツト」
レストラン列車に乗車すると、記念乗車証が必ずついています。さらにランチコースには、パッケージに旧海軍の舞鶴鎮守府のシンボルマークをプリントした「舞鶴鎮守府ビスケツト」もついています。シンプルでどこか懐かし味わいです。
丹後くろまつ号の特製ランチコース『海軍レシピでめぐる列車旅』では、沿線の食材を採り入れた地元の有名レストランのガストロノミーを満喫。このほか10時8分に福知山駅を出発して昼前に天橋立駅に到着する「モーニングコース」と、16時5分に天橋立駅を出発して17時24分に西舞鶴駅に到着する「地魚コース」をラインアップ。地元の美味しい料理と風光明媚な車窓の景色をぜひ楽しんでみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問 https://travel.willer.co.jp/train/tantetsu/>
2026/10/01| TAGS: lifestyle
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