71歳の父は、母が亡くなってからひとり暮らし。
私が実家へ行く日は、昼ごはんを作るのがいつもの流れでした。
ところがある日、父から「卵焼き、どう作るんだ?」と電話が来ました。
卵とフライパンが並んでいた
週末に訪ねると、台所に卵焼き用のフライパンが出ていました。
「買ったの?」と聞くと、「前からここにあった」。父は引き出しの場所を指しました。
私は卵を手に取りかけて、戻しました。
「お父さんが焼く?」。
「そのつもりで聞いたんだ」。少し照れたような顔を見て、私は隣に立ちました。
教えるのは、思ったより難しい
「砂糖は?」「どのくらい混ぜる?」。
聞かれるたび、普段は目分量だったことに気づきます。
父が卵を流すと、端がすぐ固まりました。
「もう巻いていいか?」。「火、少し弱めて」。
箸で持ち上げた卵は途中で破れましたが、残りを足して巻くと、何とか形になりました。手を出さずに見ている方が、私まで緊張します。
形が違っても、父の卵焼き
少し焦げた卵焼きを切り、2人で食べました。
「母さんのとは違うな」。父が言うので、「私のとも違うよ」と返すと、笑いました。
半分は夕飯に残すそうです。私が洗い物をしている間、父は使った砂糖とだしの量を、小さなメモに書いていました。
帰る時、「次は、ひとりで焼いてみる」と父。
私は冷蔵庫の卵を確かめてから玄関へ向かいました。
「お父さんの卵焼き、また食べたい」。そう伝えると、父は「焦がさないように練習しとく」と笑いました。
※画像は生成AIで作成しています ※本記事は、編集部が取材した体験談をもとに、プライバシーに配慮して一部内容を編集・構成しています
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2026/10/10| TAGS: lifestyle
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