彼と買い物へ出かけた日のこと。
その日の私は、布のトートバッグを持っていました。
帰りに書店へ寄って、買った本を入れるつもりだったんです。
ところが歩き出してすぐ、「暑い」と彼が上着を脱ぎました。
「これ、入れといて」
返事をする前に、上着は私のバッグへ押し込まれていました。
財布に袖が引っかかり、思わず足が止まります。
「自分で持ってくれない?」
「バッグあるんだから持ってよ」
上着を取り出して返すと、聞こえよがしのため息。
……ちょっと待って。私のバッグは、あなたの荷物入れじゃないんですけど?
手ぶらを選んだのは、彼のほう
「まだ入るじゃん」
「この後、本を買うの。自分の荷物用に持ってきたんだよ」
「俺、手ぶらで来たのに」
手ぶらで来たのは、彼自身の選択です。
なのに断った私のほうが、意地悪をしているような空気になるから不思議です。
「私が持つって、勝手に決めないで」
そう伝えると、彼は黙って歩き出しました。
本をしまった、その瞬間
書店で文庫本を買い、バッグへ入れた私に、彼がぽつり。
「それが入るなら、上着も入ったでしょ」
入るかどうかの問題ではありません。誰の荷物を、誰が持つかの話です。
自分のバッグに自分の本をしまうだけで、言い訳が必要になるなんて。
この感覚のズレこそ、いちばん重い現実なのかもしれません。
※画像は生成AIで作成しています ※本記事は、編集部が取材した体験談をもとに、プライバシーに配慮して一部内容を編集・再構成しています
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2026/10/29| TAGS: lifestyle
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