休日、ずっと気になっていた美術展へ彼と出かけました。
誘ったとき、彼は「たまには美術館もいいね」と乗り気な様子。
私もこの日を楽しみにしていたんです。
ところが会場に入ると、彼は絵の前を次々と素通りしていきます。
まだ最初の部屋なのに
最初の部屋で、私は大きな絵の前に立ち止まりました。
近くで見る筆跡と、離れて見たときの印象がまるで違う。
そんな発見に心が躍ったのも束の間——。
「もう見たじゃん。次、行こうよ」
振り返った彼の言葉に、思わず耳を疑いました。
「もう少し見たいな。先に行っててもらっていい?」
そう返すと、彼はちらりと腕時計に目を落としたのです。
同じ速さで進まなくても
次の部屋でも、彼は入口のそばで待ちかまえていました。
「そんなに読むことある?」
「説明も読みたいし、戻って見たい絵もあるの」
すると彼は小声でひと言。
「1枚ずつそんなに見てたら、終わらないよ」
会場はまだ半分も回っていません。私は意を決して伝えました。
「一緒に進まなくても大丈夫。見終わったら連絡するね」
絵の前に戻っても
「じゃあ、出口で待ってる」と彼は先へ。
私はさっきの絵に戻りました。誰かに急かされながら歩くのは、もうやめたかったから。
じっくり見上げると、奥に描かれた小さな人影に気づきました。
「ねえ、これ見て」——そう言いかけて隣を見ても、そこに彼はいません。
彼の急かす声は消えたのに、静かに絵を楽しめる状態ではなくなってしまいました。
※画像は生成AIで作成しています ※本記事は、編集部が取材した体験談をもとに、プライバシーに配慮して一部内容を編集・再構成しています
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2026/11/01| TAGS: lifestyle
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