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大正ロマン×百段階段。文豪たちが描く幻想の世界に浸る【ホテル雅叙園東京】企画展

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文化財「百段階段」にある各部屋は、昭和10年当時の日本画壇の巨匠や注目の画家たちが、欄間や天井画、掛軸などを描くほか、障子には繊細な組子細工がほどこされ、栄華を極めた室内は驚きが尽きません。

 

▲最初の部屋「十畝(じっぽ)の間」では、百段階段の完成と同じ昭和10年に発表された萩原朔太郎の『猫町』を再現しています

 

天井や長押などに施された螺鈿細工や天井画など、究極の美と向き合うお部屋「十畝の間」。小説『猫町』では、道に迷った主人公が美しく華やいだ町にたどり着きます。この部屋にはフォトスポットも設けているので記念撮影もお忘れなく。

 

▲部屋の後半は、突然猫だらけの世界に一変。現実と非現実が隣り合わせる不思議なお話です。

 

この企画展のために、陶芸作家の小澤康麿氏が作った猫たちが並びます。何かを言わんとするかのようなその表情が、物語を印象的なものにしています。

 

▲「漁樵(ぎょしょう)の間」では中島敦の代表作『山月記』が描かれます

 

中国の故事をテーマにした「漁樵の間」では、中国を舞台にした『山月記』を再現。才気に富んだ季徴は、猛獣のように強い自尊心ゆえ人喰い虎になってしまいます。そしてある日、竹林の闇の奥で旧友と出会います。

 

▲部屋に飾られた「乙女の本棚」のページも見どころのひとつ

 

部屋の奥に設けられた竹林の中には、来場者自らの姿を映す鏡を用意。猛獣となった季徴が詩人になりたいという希望を友人に託すも、別れの言葉は虎の吠え声になってしまいます。

 

▲太宰治の『葉桜と魔笛』が選ばれたのは、窓外に緑を望む「草丘の間」。その絢爛たる欄間や天井画、障子の格子なども見どころです

 

男性からの手紙を巡り、互いに架空の手紙を出し合う姉と死期が間近に迫る二十歳の妹。窓の外から聞こえる口笛は、現実なのか夢なのか。

 

▲姉妹が暮らす城下町の家を再現

 

妹の死期を早める口笛の音や、障子に映る男性のシルエット、そして真実が明かされないまま終わる物語の余韻など、「草丘の間」には謎が漂っていました。

 

▲神秘的な装飾をほどこされた「静水の間」。小川未明の児童小説『月夜とめがね』がテーマです

 

月夜の美しい晩に針仕事をするおばあさんのもとに、メガネ売りの男と香水製造場で働く少女が相次いで訪れます。メガネ売りの男は障子のシルエットに、蝶の化身を思わす少女は、香水瓶にとまるガラスの蝶で表現され、夢ともうつつともつかない物語が「静水の間」で繰り広げられます。

 

▲ガラス作家のキタガワアキコ氏が制作した香水瓶には、少女の姿になっておばあさんを訪ねてきた蝶がとまっています

 

▲「星光の間」で繰り広げられるのは泉鏡花の『外科室』

 

手術を控えた伯爵夫人は、眠っているときに秘密を口ばしってしまうことを恐れ、麻酔なしで手術をすることを高峰医師に懇願します。医師と夫人は9年前、ただ一度だけ植物園ですれ違っているだけの、純愛と悲劇の物語です。

 

▲最後の展示は「清方の間」で行なわれる、谷崎潤一郎の『秘密』。「乙女の本棚」シリーズでは、イラストレーターのマツオヒロミ氏が挿絵を手がけています

 

世の中に飽きてしまった男が美しく女装をし、夜の街を彷徨うようになる。そしてあるとき、つかの間の関係を持った女と再会する。

 

▲男の住む部屋は、美しい女の着物があふれています

 

▲男は人力車に乗り目隠しをされ、どこの誰かも判らない女の部屋へと通うようになります

 

やがてふとしたきっかけで、男は女の家を突き止めてしまい、秘密が失われると共に夢から覚めたように女を捨てます。そしてさらなる刺激を求め、また別の……

 

|アフタヌーンティーやランチを楽しむプランも用意


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