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【思考をキレイにする旅の仕方(453)】逃げたっていいんです

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|逃げたっていいんです

 

渋谷のカフェでパートナーを待っていると隣の席から声が聞こえてきました。

 

「あなたは、すぐ逃げるのよ」

 

白髪交じりの小太りの中年男性がデコレーションだらけの爪が目立つ若い女性から責められているようです。

 

彼は口答えすることなく何度も謝っていました。

 

 

「旅行作家」=「旅人」=「逃げる(いなくなる)」のイメージを持たれる私は、他人事ではなく、小さくなってしまいます。

 

「逃げる」は、いい響きではありません。

 

 

町議会議員に就任してから、また、高齢で管理できなくなった田んぼを請け負って水稲農業を始めてから、「もう逃げられないですよ」と言われることが続きました。

 

「いや、逃げられますよ」

 

口から出そうになったことがあります。

 

しかし、私の意図する「逃げる」と違った意味で取られそうなので、一旦は飲み込みました。

 

 

地方議員に就任したら高齢になるまで続ける、

 

農業をやり始めたら身体が動かなくなるまで続けるという意味合いで「逃げない」を使っているようです。

 

それくらいの覚悟を持ってやってくれということなのでしょう。

 

 

しかし、私が続けられなくなって困るようでは、そもそも持続可能な状態ではありません。

 

様々な可能性を探り試しつつ、私が逃げ出しても次の誰かが続けられる状況を目指していきたいというのが本音です。

 

極端な話、今日、事故にあって動けなくなる可能性もあるのですから。

 

 

「あぁ、スッキリした」

 

隣のテーブルの奥さまが不満を一気に吐き出したら笑顔になり、

 

旦那さまも解放されたような、ほっとした笑顔になりました。

 

 

その時、私のパートナーが到着しました。

 

次は私が責められる番。

 

また、財布を落としました。<text:イシコ


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